コンプラ時代に「ドッキリGP」はなぜ"笑える"のか 逆風のバラエティ、それでも笑いを諦めない矜持
実際にドッキリ企画には「いじめじゃないの?」「不快すぎて見てられない」という批判的な声が上がることもある。そのようなネガティブな要素を感じないように視聴者を楽しませるのが、番組の総合演出である中川さんの腕の見せどころである。
「これまで多くのドッキリ番組では、騙された演者さんがドッキリだと知らされたところで、『びっくりした!』みたいなことをひと言話して終わりというパターンが多かったんですよ。
でも『ドッキリGP』では、ネタバレしたら必ず騙された演者さんにしっかりインタビューをするようにしています。ドッキリが終わった後に演者さんの“見せ場”をもう1つ作るんです。こっちがボールを一方的に投げるのではなく、向こうからも投げ返してきて爆笑をとってからVTRが終わるという、“笑いのキャッチボール”をしっかり描きたいんです。
そうすることで、笑いと同時に安心感を視聴者の皆さんに届けることができるのではないかなと思います」(中川さん)
ドッキリ番組に必要な「お作法」
とはいえ、番組が細心の注意を払ったとしても、意図しない方向に炎上してしまうこともある。中には意図的にプチ炎上を引き起こし、世間からの注目を集めるという手法もあるが、中川さんは「番組が炎上することはあっても、演者さんが炎上してしまうことは絶対にあってはならない」と語る。
「当たり前ですがロケをするときには、『この人にドッキリを仕掛けたとき、ちゃんと笑えるようになるのか?』ということをまず考えています。
番組に出てもらった演者さんが『感じの悪い人』や『ひどい人』に見えたり、炎上したりすることは絶対に避けなくてはならない。そうなってしまうのは、演者さんに対して愛情が足りないのではないかと。
もちろん僕らもそれを完璧にできているわけではないですが、演者さんに出てもらうからには必ず面白く見えて帰ってほしい。それが“ドッキリのお作法”だなと考えています」(中川さん)
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