電話の主は、Tさんの息子さんでした。
「あなた、なぜ親の再婚に賛成なんてするんですか? 普通は反対するでしょう。まさか財産目当てですか?」
いきなりまくしたてられ、Sさんは困惑します。
なぜ、Tさんの息子が再婚に反対するのか。
それは、籍を入れれば「相続問題」が発生するからです。
「結婚するなら絶縁する」とまで言い切った息子
聞けばTさんは、大きな家や土地、十分な金融資産を持つ、そこそこの資産家でした。
Sさんの母親がTさんと結婚して、Tさんが先に亡くなるようなことがあれば、法定相続でTさんの財産の2分の1はSさんの母親が相続することになります。
たとえTさんが「Sさんの母親には財産を渡さない」という遺言書を書いたとしても、配偶者には遺留分として4分の1を相続する権利があります。
「老いらくの恋」によって財産の半分が赤の他人に渡るのは許せないというわけです。
Tさんの息子は「結婚するなら絶縁する。介護や葬儀にも関わらないし、墓もみない」とまで言い出しました。激昂した息子さんがテーブルをひっくり返すほどの大騒ぎになったそうです。
息子さんだけでなく、娘さんやその他の親族も賛成してはくれないようでした。
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