ロシア語vsペルシャ語・シリア国内の言語覇権競争 アサド政権下、言語教育を通じた周辺国の影響力

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他にも、ロシア語教育センターやカルチャーセンター、職業訓練所などを設立した。ロシアへの留学を奨励するなど、ロシア語教育普及はさまざまな方法で行われた。

ロシア語教育はシリア政府支配地域12県217校に導入されることになり、導入7年後にはロシア語教師200人、ロシア語を学ぶ生徒数は3万5000人までにも増えた。

ロシア語教育はロシア語教育以前に始まっていたペルシャ語教育を凌駕していった。

イランによるペルシャ語教育

イランのペルシャ語教育はロシア語教育より数年も前から始まっていたのだが、アサド政権支援のためシリアに軍事介入したロシアが始めたロシア語普及政策に負けた。

シリアの学校では第2外国語は英語かフランス語が選択できていた。ロシアがシリア情勢に介入してからは、ロシア語が英語、フランス語に加え第2外国語の選択肢に加えられることになった。ペルシャ語は加えられなかった。

だがイランはあきらめなかった。イラン・シリア間で結ばれた合意に基づく教育・指導・科学面の交流に乗じて、イラン文化諮問委員会を結成。イラン文化諮問委員会はイランが修繕工事を行い再開した学校では、ペルシャ語を教えることをシリア政府に義務付けた。

首都ダマスカスやホムスの大学、シリア軍大学校等にもペルシャ語の教科を加えさせた。また、シリア各地にホメイニのハウザ(シーア派神学校)の分校を開校した。

シーア派には「フセイニーヤ」と呼ばれる宗教施設がある。首都ダマスカスや地中海沿岸の港湾都市があるラドキヤ県やタルトゥース県などにフセイニーヤがオープンした。

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