ロシア語vsペルシャ語・シリア国内の言語覇権競争 アサド政権下、言語教育を通じた周辺国の影響力

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「ホッジャ」と呼ばれるシーア派高位イスラム法学者のセンターや、「教師教育大学」「ムスタファ大学」「ファーラービ大学」「アザード大学」といったイランの大学の分校や、イラン系各種イスラム分派の大学をも開校した。

とくにテヘラン~ベイルートのルート上にあって、イラン系武装勢力の活動の活発なイラン支配地域であるデルゾールやアルブカマールやアル・マヤーディーンといったイラク・シリア国境近くに多くの学校が開校された。

シリア住民の貧困さをも利用した

ISIS(イスラム国、イスラム過激派組織)を追放した後のデルゾールやアルブカマールやアル・マヤーディーンでは、2018年以降にイランの宗教観やイスラム革命思想、ペルシャ語を教える幼稚園や学校やカルチャーセンターが数多く開校された。

これらの地域では、安月給に耐えられず教師が辞めるなどの理由で、教師不足に陥っていた。また賄賂や汚職などの不正もはびこり、教育制度が破綻していた。

イランはその状況とシリア東部住民の貧困を利用した。奨学金や給食、食料品の支給、遠足などで釣って、子どもや青少年をイラン系の学校に通わせた。

また看護や救急救命医療、電気製品の整備や経理・事務、女性には料理や裁縫、美術などの職業訓練を無償で提供した。教育機関や訓練所に通う者らを講演やシーア派宗教行事、文化活動に参加させ、シーア派思想を広めていった。

これらの地域の住民はほとんどがイスラム教スンニ派だ。イランのシーア派思想教育に警戒していたが、結局受け入れてシーア派に転じた人もいる。スンニ派やシーア派への宗派変更は別にイスラム教をやめるわけではないので、罪にはならない。宗派変更の儀式があるわけでもない。

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