佐山展生氏はスカイマークをどう変える? 「再上場の条件は"面白い会社"になること」

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スポンサー契約では、90億円を融資の枠で出した。ただ、われわれはもともとエクイティ(株式)投資をする会社なので、本件の前提は再生局面で融資が株式に転換されることだと明記されている。リスクを取ってエクイティ投資をやっている。

出資比率は100%でもよかった。航空会社も20%まで出資できるので、その枠を考えたうえで、当初は80%以上と契約に書いていた。しかし、出資比率を固定してしまうと再生計画案の柔軟性が欠けてしまうという意見もあったので、具体的な数字は取り消した。

破産の瀬戸際で出資を決断

出資に至る過程は、かなりスリリングなものだった(撮影:今井康一)

――100%のリスクを負うくらいの覚悟だと。

そうだ。破綻前、もともとはどこかの航空会社が支援することが明確になれば、われわれはスカイマークに出資すると話していた。それが、今年の年明けにANAとなった。

しかし、1月13日にANAが実質的に支援しないという話になった。その報告を受けた時点では、過大な債務をすべて担いで整理するのは、航空業界が専門ではないわれわれには難しい、正直大変だなと思っていた。

その後しばらくスカイマークの井手隆司会長から連絡がなかったので、1月23日の夜、われわれのメンバーである西岡(成浩・スカイマーク次期取締役)が井手さんに連絡を取った。すると「明日から破産の準備をする」と。

収益の見込めない会社ならともかく、収益力はまだある。破産すれば、従業員は仕事を失い、利用者の移動手段も減ってしまう。「破産はないですよ」と伝えた。そこから緊急の電話会議を開き、翌日から羽田の本社で準備を始めることになった。

インテグラルから5人が常駐し、泊まり込みで伝票を全部見た。資金繰りを見ていくと、6日後の29日に民事再生を申し立てないと破産することがわかった。将来のキャッシュフローを見込んで、資金をいくら準備しておけば事業が回るかを試算した。当初は「しんどい」「難しい」という声も漏れた。

ただ最終的には、26日に「90億円の枠を準備すれば回る」と、自信を持ってチームから報告があった。投資委員会で決議し、28日の夜に民事再生の申し立てをした。

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