なお、東芝は水平分業方式を採用している。ソニーは、合弁企業からパネルを調達する方式なので、疑似垂直統合と言われる。
07年頃、どちらの生産方式が強いか、さまざまな議論があった。この頃は、垂直統合が優位との意見が多かった。しかし、この問題には、いまやはっきりした答えが出た。垂直統合モデルは敗北したのである。
パナソニック大赤字の原因として、10年に姫路市で稼働した新工場があると言われる。シャープは、液晶テレビの代名詞だった亀山工場の大半を、中小型パネルの生産に転換するなど、大幅な戦略転換を図った。ソニーの赤字も、テレビ事業の採算悪化が原因である。日本メーカーだけではない。サムスン電子の液晶パネル部門は、ウォン安にもかかわらず、利益が出ていない。
全世界向け大規模生産で巨大EMSはコスト削減
その反面で、ファブレス企業であるビジオの躍進はめざましい(ただし、収益性は公表されていないので分からない)。瑞軒科技や友達光電などのEMS企業も利益をあげている。07年頃に比べると業績は悪化しているし、水準も高いとは言えないが、低くすぎるわけでもない。
スマイルカーブの理論では、製造段階の利益率は低いとされる。しかし、それは、両端との比較において低いということであって、絶対的な利益率が低いとは限らない。
テレビ事業以外も含めて、エレクトロニクスメーカーの利益の状況を見ると、図に示すとおりだ。