もう泣き寝入りしない「フリーランス新法」の中身 契約の仕方など知っておきたいポイントを解説
雑誌『レタスクラブ』の事業において、販売収入や広告収入が減少するなか、資材費や輸送費が上昇しているとし、利益改善を図るために、原稿の執筆や写真撮影などを委託した事業者に対して、発注単価を一方的に約6.3%ないし約39.4%引き下げていた。
下請法で下請事業者が守られるのは、発注事業者の資本金が1000万円を超える場合のみ。そのため、「発注事業者は資本金を1000万円以下に抑えておけば、下請法を守らなくても許されるという法律の抜け穴があった」(平田氏)という。
一般的にフリーランスは「予算の調整弁として報酬を減額させられる、顧客の気分次第で仕事のやり直しを繰り返しさせられるなど、ハラスメントを含めてさまざまな問題が生じても、泣き寝入りをせざるを得ない状況に置かれていた」と平田氏は指摘する。
2020年より厚生労働省から委託を受けた第二東京弁護士会が運営している「フリーランス・トラブル110番」にも、「報酬の支払い」(28.1%)や「契約条件の明示」(16.9%)などの相談が多く寄せられていた。
報酬の支払い 28.1%
契約条件の明示 16.9%
受注者からの中途解除・不更新 9.4%
発注者からの損害賠償 8.4%
発注者からの中途解除・不更新 9.4%
出所)厚生労働省「フリーランス・トラブル110番について」より
こうした実態を踏まえ、個人が事業者として受託した事業について、取引の適正化と就業環境を整備するためにフリーランス法はできた。
新法でどう変わった?
下請法との主な違いとして、まず、新法には資本金の制限がない。
また、下請法でも書面交付は義務付けられていたものの、実態として取引条件を「口約束」で済ませることが多く、トラブルの要因となっていた。そこで、フリーランス法では書面のほか、メールやチャットでも取引条件の明示が可能になり、発注事業者には書面による取引条件の明示が義務となった。
所轄官庁は、公正取引委員会と厚生労働省の2つにまたがっていることも特徴だ。前者を取引適正化パート、後者を就労環境整備パートと呼ぶ。
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