もう泣き寝入りしない「フリーランス新法」の中身 契約の仕方など知っておきたいポイントを解説
納品の期日や報酬額など、聞き取った内容をメモしたら、発注事業者に<先ほどの話を念のため認識の齟齬(そご)がないように書き起こしてみました。問題なければその旨ご返事ください>などと送る。
相手から<それで問題ないです。お願いします>といった返事をもらえば、合意が成り立つ。
「フリーランスも受け身ではなく、自分で条件を決めるルールメーカーになったほうがいい。もちろん、関係性やその会社の方針によっては、一方的に定められた条件を飲まないといけないこともありますが、取引条件を言語化して残しておくことは、立場が弱くてもできます」(平田氏)
また、発注事業者から契約書や発注書を提示された場合は、違約金の発生など不利な条件がないか、必ずよく読んで確認しておきたい。
フリーランスが自分で契約書のひな形を作成して、不利な条件を回避するというのも手だ。
フリーランス協会は、個人の事業者が契約書を作成する「契約書メーカー」を無料で提供している。
質問に答えながら、自分の条件にあった契約書を作成し、ダウンロードできるサービスだ。1度試しに作っておくと、契約書で決めておくべきポイントを意識するきっかけにもなる。
報酬額の決め方のコツ
取引条件の明示のなかでも、特にフリーランスから切り出しにくいのが報酬額だ。職種や経験値によって差が出るため、一概に「適正な金額」は明示しがたい。だが、そもそも日本人は謙虚である。
「自信がない人ほどセルフディスカウントしがち。自分の値付けは、業界全体の相場にも影響します」と平田氏は話し、こう続ける。
「自分の職種における相場や、価格幅を市場調査することは大事。同業者同士の情報交換のほかにも、最近は、スキルシェアのサービスもあるので、どのくらいの仕事をして、いくらくらいの値付けがされているのかが見えます」
とはいえ、クラウドソーシングは基本的にビギナーが多くて安く設定されているため、名指しで仕事を受けている人とは違う相場になる。
「報酬を上げるためには、ほかの事業者に代替されにくい、名指しで『あなたにお願いしたい』と言われる仕事を増やすことが大切。逆に、自分が絶対やりたい仕事については、普段の報酬より低く設定するなど、自分の意思で自由に価格調整できるのもフリーランスの醍醐味です」(平田氏)
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