もう泣き寝入りしない「フリーランス新法」の中身 契約の仕方など知っておきたいポイントを解説
経験値や物価の上昇にあわせて、値上げを交渉するのも必要なスキルだ。
「会社員は誰かが賃上げを訴えてくれますが、フリーランスは自分が事業者なので、自分以外は誰も値段交渉をしてくれません。自分で交渉するしかないのです」(平田氏)
ただし、値段交渉の末、発注者事業者が「その値段は受け入れられない」という理由で取引が成立しないということはあり得る。
「こうしたケースは違法に当りません。違法になるのは、10万円で合意した仕事を後から一方的に減額したり、相場より著しい安値で買いたたいたりした場合などです」(平田氏)
収入源を複数確保しながらポートフォリオ分散しておくことも、フリーランスの生存戦略として必須だろう。
フリーランス法の課題
フリーランス法には課題も残っている。
その1つが、上述の「7つの禁止事項」は、発注事業者がフリーランスに対して「1カ月以上」の業務を委託した場合に限られることだ。例えば、急な仕事の発注を受けたフリーランスが、2週間の契約で成果物を納品したとする。この場合は1カ月を超えた契約ではないので、対象外だ。
問題が発生した場合は、「フリーランス・トラブル110番」で弁護士の無料アドバイスを受けることもできる。
もう1つは、以前から問題が指摘されている「偽装フリーランス」で、契約書では業務委託でも実態は労働者として働かされているケースだ。
この場合は、労働基準監督署に訴えて「労働者」として認定されれば、労働基準法が適用され、社会保険に加入でき、残業代が付くなど手厚い保護が受けられるようになる。
人材が流動化している時代、出版や文化芸術にとどまらず、さまざまな分野でフリーランスは欠かせない存在になっている。会社員とアルバイトだけでは仕事を回せない業界も少なくない。
「優秀な人と仕事を続けようと思ったら、発注事業者は法律を守り、報酬を適正化しないとほかに人材を奪われてしまいます。いい人材と付き合っていくためには相応の報酬で適切に取引することが必要であるという経営判断ができる会社は、いいアウトプットができ、そこを軽んじる会社や業界には人が集まらなくなり、淘汰されていくでしょう」(平田氏)
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