任天堂「君島新体制」、組織を大再編する狙い 岩田聡前社長の急逝から2カ月、新社長が決定

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昨年10月に開催された第2四半期決算説明会の壇上。左から宮本茂氏(クリエイティブフェロー)、竹田玄洋氏(技術フェロー)、岩田聡氏(前社長、故人)、そして今回社長に就任した君島達己氏(撮影:梅谷秀司)

この大所帯を管轄するのが、「脳トレ」の開発などで岩田氏を支えた高橋伸也取締役だ。高橋氏は直近ではゲーム連動フィギュア「アミーボ」を担当。今後はディー・エヌ・エーと共同開発するスマートフォンゲームのほか、テーマパークなどのキャラクターIP事業も見ることになる。

ゲーム機部門も大幅に見直した。竹田氏が担当してきたゲーム機本体を開発する統合開発本部と、岩田氏の直下だったOSやネットワークなどを担当するシステム開発本部を統合。2016年に発表を控える次世代ゲーム機「NX」は、ネットワーク接続を前面に打ち出すと見られている。ハード単体の性能のみならず、ネットワーク接続に最適化したゲームプラットフォームの開発強化は不可欠だ。事業部間にまたがっていた各機能の融合が進むことが期待される。

副本部長、部長相当職の9人が昇格

今回の人事では、若手への権限委譲も前面に打ち出している。取締役3人の管轄を増やしたほか、各事業部の副本部長・部長相当職の9人を昇格させた。「通常は取締役より下の人事は知らせない」と会社側も認める異例の開示は、経営の若返りのアピールにほかならない。

加えて、部署ごとに意志決定できる集団指導体制への移行も大きな目的だ。これまで岩田氏は、すべての事業を掌握した上で、最適化を進めながら経営判断を下してきた。だが1人ですべてをこなす岩田氏が不在になった以上、新たに決める人間を明確化しなければビジネスは進まない。カリスマ経営者亡き後、「各自が考えて決定する」という意識改革が幹部らに求められている。

突然の訃報によって動き出した新体制だが、「岩田前社長の意志を引き継ぐ」と君島氏が明言したように、従来からの方針は変わらない。スマホゲームや次世代ゲーム機のリリースまでは、任天堂の進むべき方向は決まっている。問題は、岩田氏が敷いたレールを走りきった先にある。その時、任天堂を舵取りするのは誰になるのだろうか。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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