24年の映画興収「年間トップ10」示すヒットの傾向 23年と比較するとどんな違い?トレンドを分析
「実に興味深い現象です。同作は、アメコミ文化が根強いアメリカだから、拒否されたと思います。アメコミ(映画)の系譜を、大きく逸脱してしまった。
一方、日本はもっと作品本位に接した人が多かった気がします。もちろん、前作『ジョーカー』の衝撃度を期待した人も多かったでしょう。日本でも前作より大きく数字を落としたのは間違いありません。ただ、監督は続編で同じことをやるでしょうか。そのことを踏まえると、日本の観客は鷹揚だったと思います。
その違いを、ある程度受け入れる人がいたということです。同作の興行から、日本の国民性を感じました。いささかオーバーな言い方ですが、このような映画の多様性が、もっと多くの洋画に広がることを期待します」
前作と続編の作品性が違ったとしても、作品そのものと対峙し、おもしろければ受け入れて楽しむことができる。それが、映画に対する寛容性が広く、柔軟に向き合うことができる、感受性が豊かな日本人の国民性なのかもしれない。そこからアニメを含めたいろいろな形のヒットが生まれている。これは、今後の興行を考えるうえで重要なポイントになるだろう。
自由なチャレンジができる市場環境への進化
今年の映画興行を振り返ると、サプライズヒットが多く生まれたことが最大のトピックになる。それは、製作者からすれば、従来のヒット方程式やセオリーといった定型にとらわれず、自由なチャレンジができることになる。
たとえ前例がなくても、マーケティングに縛られることなく、ヒットバリエーションの模倣でもなく、新しい可能性を追求していくことがヒットにつながる。そんな市場環境が整いつつある。それがアニメ、実写を問わないことを今年のヒット作は示している。
大高氏は「サプライズヒットが続くことにより、市場は自然と強くなっていく」とする。今年はそんな市場の進化への流れが見えた年になる。来年は今年とはまた異なるサプライズヒットが生まれることが期待される。
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