24年の映画興収「年間トップ10」示すヒットの傾向 23年と比較するとどんな違い?トレンドを分析
カテゴリ別で見ていくと、邦画アニメは100億円超えヒット本数をはじめ、昨年に勝るとも劣らぬ好成績。今年も社会現象的なヒットが世の中をにぎわせ、映画興行の軸となった。
そんなアニメシーンの今年のトピックは、『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』のスーパーヒットだろう。

これまでのシリーズでは、テレビアニメ総集編となる劇場版『ハイキュー!! 終わりと始まり』『ハイキュー!! 勝者と敗者』(2015年)、『ハイキュー!! 才能とセンス』『ハイキュー!! コンセプトの戦い』(2017年)などが公開されてきたが、いずれも10億円を超えるようなヒットにはなっていない。
そうしたなか、テレビアニメの続編となる本作が、関係者も驚く100億円超えとなった。
このヒットの背景のひとつには、2020年の『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』から続く、アニメファンだけではなく、一般層がアニメを見に劇場に足を向ける流れがある。
それ以前は、作品ごとのアニメファンが劇場鑑賞し、それでも大きなヒットになっていたが、2020年以降は同層に加えて、話題作アニメの劇場鑑賞者の裾野がマスに大きく広がっている。
その傾向は、近年シリーズ新作ごとに興収を伸ばし続け、いまや100億円を超える劇場版『名探偵コナン』をはじめ、『機動戦士ガンダム』など軒並み人気シリーズが興収規模を拡大していることが示している。
スポーツ系アニメのヒットへの期待
もうひとつの要因が、昨年の『THE FIRST SLAM DUNK』(157億円)にも共通する、スポーツ系の物語という点だ。

この2本はそれぞれバスケットボールとバレーボールを題材にしている。スポーツには努力、友情、絆、勝利、涙、チームワーク、集団のなかの個人といった共感性の高い感情を揺さぶる要素がてんこ盛りだ。そのわかりやすさやなじみやすさは、作品ファンに限らず、より幅広い層を劇場へ向かわせている。スポーツ系アニメのヒットはこの先も続くのではないだろうか。
ただ、アニメは公開本数も多い。一部タイトルのヒット規模が大きくなるのと同時に、優勝劣敗もはっきりと分かれている。そんななかでの『ルックバック』のヒットには意義がある。人気シリーズの続編やスピンオフではなく、58分という短尺の映画でも、作品力さえあれば観客が集まる健全な土壌があることが示された。
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