24年の映画興収「年間トップ10」示すヒットの傾向 23年と比較するとどんな違い?トレンドを分析
今年の100億円超えは、年間1位と2位の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(157.3億円)と『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(116.2億円)の2本。昨年の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(140.2億円)のような洋画からのスーパーヒットは生まれなかった。
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一方、昨年はTOP4までアニメだったが、今年は3位に実写『キングダム 大将軍の帰還』(80億円)がランクイン。昨年5位のシリーズ前作『キングダム 運命の炎』(56億円)から興収を20億円以上アップする大健闘になった。
2024年のこのほかのTOP10内は、ドラマとリンクした世界線のオリジナル脚本の『ラストマイル』(59.3億円)、YouTube発メディアミックスの映画版『変な家』(50.5億円)、小説投稿サイトから生まれTikTokで火が点いた戦争映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(45.4億円)。
TOP10圏外でも、58分という劇場アニメながら20億円を超えた『ルックバック』、1館上映から300館以上に拡大し8億円を超えるスマッシュヒットとなった自主製作映画『侍タイムスリッパー』などが今年の話題作として挙げられる。
サプライズヒットが次々と生まれている
興味深いのは、アニメ、実写にかかわらず、多様なジャンルおよび作品タイプからサプライズヒットが生まれていること。それぞれが既定路線のヒットではなく、口コミをはじめSNSなども含めたさまざまなメディアへの独自の浸透の仕方があり、作品自体に力があったことで、ヒットボリュームが想定以上に大きくなった。
また、これらの作品に共通するポイントは、若い世代に情報がしっかり届き、興味関心の呼び込みができていること。そういった作品が特定のジャンルではなく、幅広く生まれている背景には、彼らが日常的にアクセスする情報のなかに映画へのタッチポイントができつつあり、生活のなかで映画が身近な存在になっていることがあるのかもしれない。
そうだとすれば、これから先の希望になる。今年目立ったサプライズヒットは、来年も続くのか。映画興行の未来を占うひとつの試金石になるだろう。
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