身近な弱者を無自覚にターゲットにしてしまう加害者も
今回のマンガを読んだ人の中には、加害者に「支援」といった言葉を使うのに違和感を覚えた人もいるかもしれません。でも、加害者になる人は、育った家庭や職場などで、加害を受けて育った人である可能性が高いそう。自分の“傷つき”を消化できないままに、身近な弱者を無自覚にターゲットにして同じことをするパターンはとても多いのです。
日本で共同親権が始まれば、加害問題がある元夫婦のトラブルはさらに増えると予想します。国はそのサポートにもっと手間暇、つまり予算をかけて取り組むべきではないでしょうか。
そのサポートには、被害者の相談・カウンセリング・トラウマ治療、加害者変容サポート、そして何より大事なのは、子どもの肉体的・精神的ケアと子どもの意思を反映させる仕組みづくりだと私は思うのです。それには、イギリスの「カフカス」のような仕組みは参考になることも多いように思います。
GADHAの将来の展望として、中川さんは興味深い話もしてくれました。「DV・モラハラは被害者側が耐えきれなくなって家を出ていくことが多い。でも本当は加害者こそ出ていくべき。だから、もしできるなら、全国に加害者向けのシェルターやシェアハウスも作りたい。被害者のシェルターは実際にあるし、それもとても大事。でも、GADHAを運営していると、加害の自覚が生まれたメンバーが『変容できるまで外で頑張りたい』と自ら家を出るケースもある。予想外でしたが、必要だと思いました」
さらに、共同親権についてどう思うかも中川さんに聞いてみました。中川さんいわく「今のDV対策が十分にできてない状態での共同親権導入には反対」。さらに「関係が悪く子育ての方針も合わない元夫婦が子どもを共同で育てるのは現実的に無理。子どもの生活が成り立たないことも起こりうる。そして司法はいつだって完璧に正しい判断が出せるわけじゃない。調停や訴訟をわざと引き延ばして相手の負担を増やすリーガル・アビューズ(法的嫌がらせ)も増えるでしょう。そういうことを止める仕組みが必要」と言います。
次回は、ある元夫婦の体験談を紹介します。夫の加害に耐えきれなくなった妻が子どもを連れて家出。そこからの興味深い変遷についてです。
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