維新、「内閣不信任案」が決める大阪系の運命 「反対」をすれば除名処分で追放される
分党とはいわば「協議離婚」。それどころではなく、松野頼久同党代表らによる逆襲が始まるかもしれない。大阪系は、強制的に家を追い出されるかもしれないのだ。
争点になるのが、参院で審議されている安保関連法案だ。同法案に関しては、15日に参院で中央公聴会、16日には神奈川で地方公聴会が開かれる。そして17日には委員会採決が行われ、18日には本会議にかけられて成立する予定だ。
民主党など野党は同法案が可決されれば、内閣不信任案を提出するつもりだが、これについて維新の党の内部では意見が分かれている。松野氏らは賛成だが、大阪系の国会議員の筆頭といえる馬場伸幸前国対委員長は役職を解任される前の9月2日に開かれた会見で、「会期末になれば内閣不信任案が出されるのは悪しき習慣」とこれを一蹴している。
それでは内閣不信任案が出され、大阪系の議員たちが反対するとどうなるか。
「維新の党の執行部は、大阪系の議員たちへの除名処分が可能になる。そうなれば党の政党助成金など財産を分割する必要はなく、大阪系はいわば“裸で追い出される”形。果たして資金もなく、11月のダブル選を戦えるのか。兵糧攻めになることは明らかだ。松野氏らが大阪系の議員たちの生殺与奪の権を持ったということだ」(前出の地方議員経験者)。
実際に松野氏は9月10日の定例会見で、「内閣不信任案への投票には党議拘束をかけるのが普通だ。国会議員として最も重要なのは首班指名での投票で、その次が不信任案への投票だ」と述べ、不信任案に反対した議員を処罰する可能性を示唆している。
「松野体制」の向かう先は?
情勢は松野氏に有利になっているようだ。今年5月に急きょ代表を辞任した江田憲司氏に代わって代表に就任した時、江田氏の意向で柿沢未途氏を幹事長に任命したが、これは江田氏からの強い「推し」があったためで、もともと柿沢氏と肌が合うわけではない。その柿沢氏を馬場氏や片山虎之助氏とともに更迭し、ようやく自分好みの執行部を実現した。これからが本当の松野体制が始まるといえる。
権謀術数に長けたために「ズル平」とあだ名が付けられた故・松野鶴平氏を祖父に持ち、父は「佐藤派5奉行」と言われ、細川護煕元首相や小泉純一郎元首相の「指南役」を自任した故・松野頼三氏。そのDNAを受け継ぐ3代目の松野氏は、どのような政治的手腕を見せるのか。橋下氏ら大阪系との本当の闘いは、これから始まる。
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