勢い増すロムニー氏、だが「投資会社」時代が攻撃対象に【米大統領選・専門家の見方】
現状では、ニューハンプシャー州でギングリッチ候補とサントラム候補が横並びとなったうえに、アイオワ州で出遅れたペリー候補もサウスカロライナ州への参戦を表明しており、保守票の集結は難しい状況。
ロムニー候補のベイン・キャピタル時代の実績批判は、本選挙でも同候補の弱点となる可能性
ニューハンプシャー州の予備選挙では、ギングリッチ候補などが、ベイン・キャピタル時代のロムニー候補について、企業再生の過程で「解雇などの犠牲を強いることで高収益を得てきた」との批判を展開。サウスカロライナ州でも、こうした批判がさらにエスカレートする可能性がある。
予備選挙に限れば、私企業の活動を批判することは必ずしも共和党本流の考えとは一致せず、「反ロムニー票」がギングリッチ候補などに集まることをかえって阻害する働きもある。
しかし本選挙の観点では、「民間で雇用を生んできた」実績をロムニー候補が強調している以上、ベイン・キャピタル批判が世論の共感を得た場合には、同候補にとって痛手となりかねず。2004年の大統領選挙で、民主党のケリー候補のベトナム参戦歴が却って攻撃対象になったのと類似した構図。
本選挙でオバマ陣営が改めてこの問題を取り上げるのは確実な情勢。実際、オバマ政権は「インソーシング(米国内への雇用回帰)」を取り上げたイベントを予備選挙翌日の11日に開催。「マネーゲームによる雇用削減」との対比を暗示させている。早めに論点が浮上したことで、ロムニー陣営がいかに対処してくるかが注目されるところだ。