勢い増すロムニー氏、だが「投資会社」時代が攻撃対象に【米大統領選・専門家の見方】
米北東部ニューハンプシャー州で10日実施された共和党の大統領候補を選ぶ予備選では、穏健派のロムニー前マサチューセッツ州知事が緒戦のアイオワ州に続き連勝した。アイオワ州の党員大会は党員だけの投票だったが、ニューハンプシャー州は無党派も参加できる初めての予備選で注目されていた。
今回の予備選の結果について、みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長の安井明彦氏は次のように分析している。以下要旨。
ニューハンプシャー州の予備選挙を経て、ロムニー候補の指名獲得の可能性がさらに上昇
ロムニー候補には「勝利確実」との期待値の高さがあったが、2つの観点でこれを上回る成果を獲得した。第一に、前回2008年を上回る得票率での勝利。いまだ過半数が「ロムニー不支持」ではあるものの、「得票率30%の壁」はクリアした。第二に、有力な対立候補はいぜん現れず、保守派からの「反ロムニー票」はギングリッチ候補とサントラム候補で分裂した。
ニューハンプシャーに勝負をかけたハンツマン候補もポール候補に遅れをとる格好となり、今後への勢いをつけるには物足りない結果。資金力・組織力の弱さを考えれば、ロムニー候補を脅かす存在となるのは困難。
次の予備選挙後であるサウスカロライナ州では、「反ロムニー票」の集結が焦点
ロムニー候補にとっては、サウスカロライナ州(1月21日)は必ずしも戦いやすい州ではないが、保守票の分裂が続く限り、30%台の得票でも勝利は可能。いわば08年のマケイン候補と同じ勝利の方程式。