他人事じゃない「高齢の親を虐待」しないための手 「困ったときに吐き出せる場所があるか」がカギ

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介護の負担で追い詰められた家族の支えとなるのが、周囲とのつながりや介護保険制度です。困ったときに、家族が自分たちで抱え込まず、周りに助けを求められるかどうかが大きなカギになります。

高齢になったら、ある程度自分から動いて周囲とのつながりを保とうとしないと、社会から孤立してしまうのは事実です。特にこれまで仕事中心の生活を送ってきた男性が、退職とともに属するコミュニティがなくなり、孤立してしまいがちなのは、よく語られることです。

それと同様に、長年、家のことは妻に任せっぱなしで仕事一筋だった男性ほど、介護においてもビジネス的に成果を求めてしまう傾向があるように感じます。

実際、私が担当した患者さんのご家族でも、「課題があれば、その解決のために動き、どれぐらい改善したのか(成果を上げたのか)報告するのが介護職の義務だ」と、PDCAサイクルを回そうとするがごとく、ご自分の主張を強く振りかざしていた男性がいました。

残念ながら、介護にビジネス的な“成果”を求めようとしても、難しいのが現実です。自分たちができること、できないことに折り合いを付け、負担がかかり過ぎないよう、介護保険制度や周囲を頼ってバランスを保ちながら、日々の生活を回すことが必要なのです。

介護で追い詰められないためには

介護で追い詰められないためには、困ったときに吐き出せる場所があるかどうかも大事なポイントです。

例えば、認知症の人と家族、地域住民が気軽に集うことのできる「認知症カフェ」のような場や、共通の困りごとを共有しあえる患者会や家族会などの場を活用するのも手。

趣味やボランティア、町内会などの地域活動などを通じ、周囲とのつながりを保とうとする姿勢も大切です。現在は、趣味や運動などを通じて高齢者同士が交流するための場作りも、行政主導で広がっています。

どんな取り組みがあるのか知りたい場合、まずは最寄りの地域包括支援センターを訪ねてみるといいでしょう。

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