フランス「不信任」でどう転んでも近づく極右政権 国債利回り急騰、来年後半は選挙「臨戦モード」
フランスで9月に発足したバルニエ政権が総辞職に追い込まれる窮地に立っている。議会の最大勢力である左派勢力「新人民戦線」、それに極右政党「国民連合」は12月2日、それぞれ内閣不信任案を提出した。
国民議会(下院)で過半数の議席を持たないバルニエ政権は、来年度予算案の年内可決を目指し、議会採決を迂回した特別な立法手続きによる予算通過を目指した。議会は対抗措置として24時間以内に内閣不信任案を提起できる。不信任案が否決され内閣が信任された場合には、法案が可決されたと見做される。
不信任案が可決されれば、内閣は総辞職し、来年度予算案も廃案となる。
政治・財政リスクでフランス国債の利回り急騰
国民連合は左派・新人民戦線の不信任案に同調する可能性を示唆している。左派勢力だけでは政権を倒すのに必要な議席を持たないが、極右勢力の議席を合計すると、不信任案の可決に必要な過半数を上回る。
投票は不信任案の提起から48時間以上が経過した後に行われ、早ければ現地時間の12月4日(日本時間の4日夜から5日未明)に予定される。今回の投票を乗り切ったとしても、来年度予算案の審議過程で別の不信任投票が提起される見込みで、6日と20日にも投票が行われる可能性がある。
にわかに再浮上したフランスの政治・財政リスクを受け、フランスの国債利回りが急上昇(債券価格が急落)し、域内の安全資産とされるドイツ国債との利回り差が一時、欧州債務危機時以来の水準に拡大した。
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