フランス「不信任」でどう転んでも近づく極右政権 国債利回り急騰、来年後半は選挙「臨戦モード」

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バルニエ首相はかつて、EU側の首席交渉官として臨んだブレグジット(英国のEU離脱)協議で、英国が仕掛けるチキンレースに一歩も引かない強気の交渉姿勢を貫いた。

今回は極右の協力なしに難局を乗り切れないことから、比較的早い段階で譲歩姿勢を示していた。

だが、エスカレートする極右の要求に譲歩すれば、政府の財政再建の遂行能力が不安視される恐れがあり、全面的に受け入れることは難しかった。新たな譲歩案も結局、極右の不信任案提出を阻止することはできなかった。

財政拡張も、政治不安定化も、どちらも国債リスク

財政赤字の拡大を受け、ムーディーズとフィッチは10月にフランス国債の格付けを「Aa2」と「AA-」に据え置いたものの、いずれも見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。

また、5月に格付けを引き下げたばかりのS&Pは11月、フランス国債の格付けを「AA-」に据え置き、見通しも「安定的」で変更なしとしたが、政治的な不確実性に伴うリスクに言及している。

内閣総辞職で財政再建の行方が不安視されれば、国債格下げが視野に入ってくる。

内閣不信任案が可決されて総辞職となった場合、マクロン大統領は新たな首相を任命することになる。

もし左派勢力の切り崩しに成功すれば、極右と極左を排除する形での中道政権が誕生し、現政権よりも議会基盤が安定する。だが、今のところ穏健左派が政権支持に回る兆しはない。

左派の切り崩しに失敗する場合、中道右派の「共和党」とマクロン大統領を支持する中道会派「アンサンブル」が協力する現政権の枠組みが維持されるだろう。

6、7月の国民議会選挙後、バルニエ首相を任命するまでに要した時間と会派間の難しい調整を考えると、年内の暫定予算の成立を優先し、バルニエ首相を再任する可能性もある。

いずれの場合も、新たな首相が改めて来年度予算案を可決することは難しく、国民議会選挙が解禁される来年後半まで政策停滞が続くことになりそうだ。

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