住友商事「再エネの収益貢献は2030年以降に」 再エネビジネスの担当役員・麻生氏に聞いた

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火力発電から脱炭素エネルギーへの転換の道筋とは。

住友商事 エネルギー トランスフォーメーショングループ CEO 麻生浩司氏
麻生浩司(あそう・こうじ)/住友商事 エネルギー トランスフォーメーショングループ CEO。1962年生まれ。京都大学経済学部卒業後、86年に住友商事に入社、海外業務部に。2023年、常務執行役員エネルギーイノベーション・イニシアチブリーダー。24年4月から現職(撮影:梅谷秀司)

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資源バブルの終了に、トランプ大統領の再登板――。総合商社を取り巻く外部環境が大きく変わろうとしている。本特集では、各社のトップインタビューに加えて、注目事業の最前線をリポートする。
石炭火力発電所で多くの発電容量を持つ住友商事。エネルギーの脱炭素化をどういうステップを踏んで推し進めていくのか。脱炭素ビジネスを束ねるエネルギートランスフォーメーショングループの麻生浩司CEOに聞いた。

石炭火力の売却先に目星

――住友商事は石炭火力で多くの発電容量を有しています。脱炭素化に向けて、どのように削減していくのでしょう。

確かに当社の電力発電容量は石炭火力発電所がかなりの比率を占める。一般的に、石炭火力の操業には保険も付きにくく、欧米の金融機関を中心に融資もかなり厳しくなってきている。このままなら事業として座礁資産化するリスクがある。

既存の石炭火力は売却してできるだけ持ち分を減らしていき、2035年度までにCO2(二酸化炭素)排出量を2019年比で60%以上削減していく。売却先の目星はついている。

とはいえ、(プロジェクトに出資する)インドネシアの石炭火力(タンジュン・ジャティ)は1号機が稼働してからまだ20年。閉鎖するのではなく、低炭素化に向けた混焼やCCS(CO2の回収・貯留)といった施策を打つのが先だろう。老朽化した効率の悪い石炭火力発電所も多いので、そこではガス火力への転換をしていく。

――今後の電力ビジネスは、何を収益柱にしていきますか。

エネルギー部門の収益の源泉はIPP(卸供給)事業が中心であり続けるが、電源は火力発電所から再生可能エネルギーに変わって来るだろう。

EPC(発電所などの設計・建設)は案件を絞ったり、リスクの取り方を見直したりしていかなければならない。

再エネに関しては、われわれは太陽光や水力発電、地熱発電も一部手がけているが、規模として増えていくのはやはり風力発電だ。これを中心に再エネ比率を増やしていく。2030年に再エネ全体で現行2倍以上の5ギガワットの持ち分発電容量を目指す。

欧州を中心に、洋上風力ではすでに建設工事に入っているものもある。昔と違って洋上風力は大規模化し、1カ所で500~1000メガワットが当たり前になっている。フランスやイギリスなどで発電容量を拡大し、「30年に再エネ5ギガワット」を達成する。

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