14年もの長きにわたって伊藤忠商事のトップに君臨し、財閥系商社と戦える水準まで押し上げた岡藤正広会長。業界のカリスマが、これまでの経営と未来を本音で語り尽くす。
過去の失敗を教訓に
──伊藤忠の時価総額は岡藤会長が社長に就任した2010年時点から10倍近く膨らみ、12兆円台(11月22日時点)に。商社トップです。
この10年間で、総合商社は大躍進した。とくにウォーレン・バフェット氏が2019年ごろから商社株を買ったことが時価総額の高騰に火をつけた。
「コングロマリットは企業価値を下げる」「選択と集中が必要」というのが、株式市場の商社業界に対する常識的な見方だった。バフェット氏はその盲点を突いた。「思い込みだ」と。そうして、これほど成功した投資は最近ないというほど結果を出している。
そもそも商社はずっと業績が堅調だった。それに高配当だ。社員への報酬は高く、就職人気も高い。こうした点にふたをして、事業内容のわかりにくさゆえに市場から評価されにくかった。
その点で伊藤忠は、生活消費関連のビジネスに注力してきたので、比較的理解されやすかったと言える。それでもまだ割安だ。日本企業の時価総額ランキングを見ると、伊藤忠が11位だが、総合商社はベスト10には1社も入っていない。利益の額ではうちに劣るところがランクインしているというのに。何かの拍子に、総合商社の時価総額はもっと上がっていくはずだ。
──各社は業績を着実に伸ばしています。かつてのように、巨額減損を出して赤字に転落することもなくなりました。
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