「年上の部下」の力を最大限に引き出す4つの質問 関係が悪化すると組織全体が機能しなくなる

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私が感じていた心理的なプレッシャーは大きく、年上部下たちとの関係が悪化すれば、組織全体が機能しなくなるリスクがありました。信頼関係が崩れてしまえば、部下たちが私から離反し、組織は大きなダメージを受ける可能性があったからです。

そのため、年上部下たちといかに信頼関係を構築し、組織の安定を取り戻すかが、私にとって最大の課題でした。

「目指す姿」を起点に対話しないこと

まず、私は彼らの豊富な経験やプライドを尊重することが不可欠だと考えました。そのため、指示を与えるティーチングアプローチではなく、部下の経験や強みを引き出すコーチングアプローチを採用することにしました。彼らの力を引き出し、共に成長する姿勢を示すことで、信頼を築いていこうとしたのです。

さらに、各部下と個別に対話を重ねることが重要だと考えました。まずはそれぞれとの関係を構築しながら、観察をして、適切なタイミングで1on1のミーティングを実施し、徐々に心理的な距離を縮めました。この対話の中では、彼らが過去にうまくいったことや成功体験を尋ね、それを尊重することで、彼らが自信を持ち、自らの強みを再確認できるように工夫しました。

私が提唱する「ギャップ分析のトライアングル」では、「目指す姿」「現在の姿」「ギャップ」の3つを把握する必要がありますが、その順番は必要に応じて変えてよいと考えています。

そして、年上部下と話すときには、その順番に注意しました。私が上司だからといって「目指す姿」を起点に話してしまうとえらそうになってしまい、部下をうまく動機づけるのは難しいと考えたからです。

部下が、これまでどのようなことを意識して仕事に取り組んできたか、組織をリードして、何がうまくいったかという成功体験について質問するようにしました。そして、部下の強みを引き出すような質問をしました。そのうえで、「目指す姿」や「アクション」について話を聞くようにしたのです。

もちろん、すべてが順調に進んだわけではありません。非建設的な態度を示す部下もいましたが、彼らに対してもまず「傾聴」に努め、組織全体の最適化を目指しました。これにより、部下たちが各自の役割で最大限の力を発揮できる環境を整えていきました。

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