マタギ修行する31歳、秋田で送る「最高の移住生活」 4LDKの一軒家に1人暮らし、山で糧を得て生きる

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猟銃所持許可のほうは銃刀法に基づいて公安委員会に認可申請をする必要があり、認可が非常に厳しいらしい。

「銃による危害を防ぐために、不認可になる欠落者の要件が定められていて、申請者の身辺調査のほかに犯罪歴や借金、近隣トラブルがないかなど、揉め事の火種を持っていないか徹底的に調べるそうなんです」

また、狩猟免許と猟銃所持許可の両方を取得したとしても、猟友会に入会できるのは、最短で猟期前の10月にある総会の時だという。

岡本さんは、ぎりぎりで今年の猟期には間に合うと思っていた。しかし、猟銃所持許可は認可がおりるまで半年くらいはかかると言われ、あえなく撃沈した。

「年内は何も活動できないと知り、どうやってマタギの輪に入っていけばいいのかイメージできず、落ち込みました」

狩猟免許は事前講習会を受けて、翌月には取得できた。しかし、次はどうしたらいい? テレワークで仕事を順調にこなし、生活のペースは整っていくのに、マタギにはなれない。

思えば、「マタギの後継者になる」というのは自分が勝手に決めただけ。移住したての素性もよくわからない人間に、「マタギをやってみないか?」と声がかかることなど、ありえないのだ。

ちょっと考えればわかることに、岡本さんは自分の無知さをかみしめながら、もどかしい日々を過ごした。

コワーキングスペース
比立内駅直結のコワーキングスペース「がっこステーション」でテレワークをこなす。中央が岡本さん(写真:岡本健太郎さん提供)

直感で「伝説のマタギ」を探し当てた

そんな中、岡本さんは自分が住む集落に「伝説のマタギ」と呼ばれる松橋吉太郎という人がいるという話を耳にする。

その人に直接、会いに行こう! と思った。104で電話番号を調べてアポを取るとか、紹介者を探して段取りしてもらうとか、外側から固めていくのはもどかしすぎる。松橋さんの自宅を探して、懐に飛び込むのだ。そして志願しよう。マタギになりたい、と。

住所も顔も知らない松橋さんの自宅を探して、自転車で集落を回った。そして、移住して3カ月経った9月。

残暑が厳しいとある日、自宅からコワーキングスペースに向かう途中に、廃業した個人商店の前を通ると、ご老人の一団がコーヒーを飲んでいた。その中の1人を見て、直感的にこの人だ! と岡本さんは確信する。

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