放射能汚染地帯で暮らす福島県民の苦悩、不安募らす子育て家庭 おざなりの除染作業
福島市や郡山市など、避難区域に該当しない地域では、避難生活を保障する代わりに放射線量を減らす「除染」を重点的に行うと政府や自治体は説明している。だが、除染をめぐっても大きな問題が持ち上がっている。
郡山市の桃見台公園(タイトル横写真)に近接するマンションに住む武本泰さん(53)は市のやり方に疑念を抱いている。エレベーターに乗り合わせた同じマンションの住民から、桃見台公園に放射性物質を含んだ側溝の汚泥を一時保管する計画があることを知らされたのがきっかけだった。11月3日のことだった。
マンション1階の掲示板を見たところ、同じ3日の日付で「側溝洗浄作業実施について作業奉仕のお願い」と題した張り紙が、町内会長名で掲示されていた。実施日時はわずか3日後の11月6日。「汚泥を桃見台公園内のピットに仮置きする。桃見台全町内会で実施しますのでよろしくお願いします」と書かれていた。
郡山市で進められる除染活動の内実
公園内では11月1日ごろから工事が始まっていたが、武本さんは当初、公園の表土の除染作業だと思っていた。ところが、作業の規模ははるかに大きく、「市および業者より、軽トラック5台、水中ポンプ2台、ダンプ4台、ふた上げ機20機、土嚢(どのう)袋1000枚」などという大がかりな作業であることが掲示で判明。「そうであるならば、近隣住民に説明会が開催されるのが当然」と考えた武本さんが市役所に電話したところ、予期せぬ答えが返ってきた。
「除染作業の主体は町内会であり、一時保管場所を桃見台公園にしてくださいと市が申し上げた事実はない。ただ、30センチメートル以上覆土するので安全面の影響はない。時間的余裕がないので、今回は周辺住民への説明会は開催しない」