勘違いから生じた第3次世界大戦が近づいている 今こそNATO、ロシアなど関連国の歩み寄りが必要だ

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もちろん、今の国際連合が戦勝国、とりわけ西欧による支配の延長にあることも否めない。ただ、この限りにおいて戦後世界が機能していたわけであり、第3次世界大戦の発生は、この戦後の価値観をも破壊することになることは間違いない。

日本という国家体制もこの枠の中にあるのだ。日本国憲法は、第98条にこう謳っている。

「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」

NATO、ロシアが歩み寄ることが必要だ

確かにウクライナ戦争は戦後の価値規範である国際連合憲章を侵犯するロシアとそれを守るウクライナという構図で始められたといえる。

だからNATO諸国はロシアに対して断固とした処置をとっているのだが、その結果が全面戦争となれば、この憲章さえも葬り去られ、この価値規範そのものの有効性を議論する場所(国際連合)さえ、なくなるのである。

そうならないためには、歩み寄りがNATOとロシアの両側に求められる。一定の痛み分けで納得するしかない。それが実効可能な和平案で、この危機を避けるには、国連が中立的立場となり、そうした提案を提案していくしか、もはや大戦争を避けることはできないのかもしれない。

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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