しかし、一方でNATOと直接戦争へと発展する可能性はある。ウクライナ戦争ではなく、欧州戦争となるのだ。こうなれば、核戦争ではないとしても大きな戦争となりかねない。戦争は欧州だけに留まることはないからだ。
継続中のガザ戦争は、レバノンに波及している。それはさらにイランへと波及し、トルコやサウジアラビア、エジプトを飲み込むかもしれない。そうなると、中東戦争へとつながり、それはやがてそれぞれの国を支援しているアジア・アフリカなどの諸国へと波及し、われわれ日本人も巻き込まれる可能性が大である。
世界大戦はなぜ「世界大戦」だったのか
世界大戦がなぜ世界大戦だったのかを振り返ってみると、第1次世界大戦は主に欧州での戦争であったのだが、そこに参加した人々はアジア人やアフリカ人などさまざまだったのだ。それはこの戦争が、アジアやアフリカの植民地をめぐる戦争でもあったからである。
第2次世界大戦では、欧州のみならず、主要戦場の1つが東アジア、東南アジアであったことは間違いない。しかし、それはそれらの国の植民地を飲み込む戦争で、まさに世界中で戦争していたといえる。
世界大戦が起こった場合の最大の悲劇は、個々の犠牲もさることながら、それを止める方法がないということである。それは、現在をつくりあげているわれわれの価値規範をも消してしまうからだ。
1945年6月26日サンフランシスコで「国際連合憲章」が調印され、国際連合が生まれるが、戦後の世界の規範はこれによって成立している。世界戦争が起こるということは、この憲章違反であり、戦後世界の価値観を完全に葬りさることだからである。
その憲章の冒頭の言葉を、少々長いが引用しておく。
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