紅白「旧ジャニ出演なし」に騒ぐ人の"大きな誤解" 出演しない理由についての報道の多くがピント外れ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

いずれにしても、最も重要なのはタレントの意向であって、彼らが「紅白に出たい」というのであれば、STARTOが窓口になってNHKに打診するというのがエージェント契約の一般的なあり方だ。

NHKとSMILE-UP.、あるいはSTARTOとの関係ばかり報道しているメディアは、古い視点に囚われすぎている。

筆者が高校生くらいまでは、家族や親戚が集まって、紅白歌合戦を見ながら年を越し、翌日はみんなでおせち料理を食べるのが定番だった。それ以降の世代は、大みそかに出かけて友人と年越しをしたり、自分の部屋で裏番組を見たりするようになり、家族が揃って紅白を見ることも次第になくなっていった。

現在に限らず、世代による音楽の嗜好の違いは以前からあった。祖父母や親世代が好む歌手を子ども世代が「古臭い」と感じたり、逆に、子や孫世代が熱狂するグループを「理解できない」と感じたりするのは通常のことだった。それをネタにしながら、親世代や祖父母世代と交流するのが、紅白歌合戦という場だった。

思い返せば、旧ジャニーズ事務所のタレントは、そうしたレガシーを受け継いでくれている稀有な存在だった。だからこそ、NHKをはじめ、テレビ局各局がジャニーズ事務所に平身低頭せざるをえなかったのだ。

メディアもそろそろ変わりどき

ジャニーズ事務所は、現在はSMILE-UP.に変わったが、いずれ廃業する。契約しているタレントは同じでも、STARTOは「旧ジャニーズ事務所」ではない。時代は変わり、以前のやり方ももはや通用しなくなった。

ジャニーズだけでなく、芸能事務所も、エンターテインメントビジネスのあり方も変わってきている。

NHKをはじめとするテレビ局も、芸能を報道するメディアも、変わらなければならないときだ。“批判する相手”が進化しているのに、自分自身が変われないというのは、メディアの沽券にも関わるのではないだろうか?

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事