「めまいの悩み」年だからとあきらめてはいけない 脳と筋肉だけは、年を取っても成長させられる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ここまでの説明で、なんとなく、耳と小脳が密接につながっていて、体のバランスにおいて重要な役割を担っているのがわかってもらえたかと思いますが……いまいち、ピンとこなかった人のために、わかりやすい例をあげてみます。

会社組織にたとえると、会社が私たちの体で、大脳は、会社の司令塔である社長です。社長は信頼のおける優秀な部下がいなくては、会社にとっての最良の決断を下すことができませんよね。その社長の右腕となってはたらくのが小脳です。

さらに目、耳、足の裏は、中間管理職のポジション(その中でも、耳がリーダー的な役割)にあり、上司である小脳にこまごまとした情報を伝えます。中間管理職の人は、部下からの情報を集約・取捨選択して社長に伝えます。この連携がうまくいくことで会社は安定・繁栄します。

体もまったく同じで、小脳が優秀であれば、目、耳、足の裏から送られてきた情報を正しく大脳に送ることができます。大脳は受け取った情報をもとに手足に「動け!」と指令を送り、それに従って手足はうまく動くことができ、私たちは体のバランスを崩すことなく、立ったり、歩いたりできているのです。

「小脳」は体のパイロット

めまいは、左右どちらかの耳のはたらきが低下する(左右差が生じる)ことで起きると説明しました。つまり、めまいを軽減するには、耳のはたらきの左右差を改善すればよい、ということになります。

しかし残念ながら、左右差を根本的になくす方法はありません。めまいの薬を使っても治すことはできないのです。そこで私が考案したのが「めまいリセット法」です。紙幅の関係で本稿では詳しく触れませんが、その多くは、小脳を鍛えることを目的としています。

私たちの体は、目、耳、足の裏からの情報を小脳がまとめ、大脳に伝えることで、バランスをとることができているのでしたね。しかし、片方の耳のはたらきが低下して左右差が生じた場合、小脳はその左右差を補おうとします。リセット法は、この小脳のお助け機能に着目したことで生まれました。

小脳と耳の関係は、プロペラ機にたとえることができます。プロペラ機の本体が人間の体だとすると、パイロットは小脳、両翼についているプロペラは耳です。

もしプロペラ(耳)のどちらかがうまく動かなくなったとしても、パイロット(小脳)が優秀であれば、なんとかバランスをとりつつ飛行を続けられます。しかし、腕の悪いパイロット(小脳)では、機体を制御しきれません。

次ページ大切なのは、日頃からの訓練
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事