「めまいの悩み」年だからとあきらめてはいけない 脳と筋肉だけは、年を取っても成長させられる

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ひと昔前は「フワフワ型のめまいが起きたら、まずは脳の疾患を疑うべし」と言われていました。しかし近年の研究では、その可能性は低いことがあきらかになっています。

【③ まっすぐ歩けない、人混みが怖い! ユラユラ型の「動揺性めまい」】

頭や体がグラグラ、あるいはユラユラ揺れた感じがする「動揺性めまい」は、おもに次のような症状があります。

・体が前後にユラユラして、不安定で立っていられない
・地震でもないのに、地面がユラユラ揺れているような感じがする
・歩いているとき、体が右や左に引っ張られるような感じがして、自然に右か左のどちらかに曲がってしまう
・人混みで他人にぶつかりやすい
・家の中で物にぶつかりやすい

「動揺性めまい」のつらいところは、めまいの治療を得意としない病院を受診すると、「原因不明」として有効な治療を受けられない場合があることです。「歳のせい」「気のせい」などと言われてしまうこともよくあります。

クラーッとする「立ちくらみ」にも要注意

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以上の3つのタイプのほかに、もうひとつお話ししておきたいめまいの症状があります。立ち上がったときに「クラーッ」とする「立ちくらみ」という症状です。

これは耳ではなく、脳貧血や心疾患、脳血管障害などによる一時的な血流障害が原因となる症状です。低血圧、睡眠不足、疲労などが原因で起こることもあります。

この立ちくらみは、なかなか完全改善が期待できない少し特殊なタイプのめまいです。ときには重篤な病気が隠れていることもあるため、症状が頻繁に起こるようであれば、耳鼻咽喉科ではなく、循環器内科や脳神経内科を受診することをおすすめします。

とくに、65歳以上で生活習慣病の高血圧や糖尿病などの持病がある男性で、突然、強い立ちくらみの症状が出た場合は、脳梗塞や脳出血などの脳の障害が原因の「中枢性めまい」と呼ばれるめまいの可能性があるので、早急に脳神経内科、脳神経外科などを受診する必要があります。

ちなみに、高血圧や糖尿病などの持病がある男性は、女性の3倍も中枢性めまいになりやすいことがわかっているので、生活習慣病に注意することが重要です。

新井 基洋 横浜市立みなと赤十字病院めまい平衡神経科部長

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あらい もとひろ / Motohiro Arai

1964年埼玉県生まれ。入院治療約1万人、外来・再診を含めると、のべ約25万人の難治性めまい患者や、「めまい難民」たちを救ってきた。これらの功績を他の医師 たちから評価され、3期連続「Best Doctors」を受賞。1989年北里大学医学部卒業。国立相模原病院、北里大学耳鼻咽喉科、横浜市立みなと赤十字病院耳鼻咽喉科部長を経て、現在めまい平衡神経科部長。日本めまい平衡医学会専門会員、代議員。1995年に「健常人OKAN(視運動性後眼振=めまい)」の研究で医学博士取得。1996年、米国ニューヨークマウントサイナイ病院において、めまいの研究を行う。
北里方式をもとにオリジナルのメソッドを加えた「めまいのリハビリ」を患者に指導し、高い成果を上げている。『めまいは寝てては治らない』(中外医学社)、『最新版 薬に頼らず自分で治す! めまい・ふらつき』(宝島社)など多数の著書がある。

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