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「めまいの悩み」年だからとあきらめてはいけない 脳と筋肉だけは、年を取っても成長させられる

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  • 新井 基洋 横浜市立みなと赤十字病院めまい平衡神経科部長
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パイロットは、どんなアクシデントも乗り切れるように、日ごろから訓練をしています。それと同じように、小脳のはたらきを日ごろから鍛えることが大切なのです。

「あえて目を回す」ことで効果が上がる

遊園地のコーヒーカップに四六時中乗っていれば、(グルグル目が回る回転性の)めまいに強くなる。これは少し極端なたとえですが、めまいの特効薬は薬ではなく、目が回ってしまうような環境にあえて身を置くことなのです。どういうこと? と思った人は、氷上を華麗にクルクル回転しているフィギュアスケーターを思い浮かべてください。

フィギュアスケーターは、クルクル回っても目を回すことなく美しい演技を続けられている。不思議ですよね。彼らが特殊能力の持ち主だと思っている人も多いでしょう。しかし、そうではありません。彼らもはじめは私たちと同じで、クルクル回ったあとはフラフラしたり、気持ち悪くなったりしたのです。

彼らが目を回さない秘密は"小脳"にあります。目、耳、足の裏から送られる情報エラーを修正する小脳のバランスシステムは、発動する機会が増えれば増えるほど、情報修正能力=バランスをとる能力が高まります。

もうおわかりですね。フィギュアスケーターたちはクルクル回るという、あえて体のバランスを崩すような動きをくり返すことで、バランスシステムが発動する機会を増やしているのです。その結果、ちょっとやそっと回ったくらいでは目を回してバランスが崩れることがないような、たくましい小脳(=優秀なパイロット)を育成することに成功しているのです。

そもそも小脳に限らず、脳にはある程度の負荷をかけていかないとその機能は低下していくいっぽうとなります。

めまいの症状が重い人は、発作が怖くて視線を動かさない、ふり返ったりしないなど、めまいのきっかけになるような行為を避けたり、中には寝たきりに近い状態で1日を過ごしたりするという人も少なくありません。気持ちは痛いほどわかるのですが、これではバランスシステムが発動する機会が失われ、機能がどんどん低下してしまいます。

「小脳を鍛えましょう」というお話をすると、「もう歳を取っているし、いまから小脳を鍛えるのは難しいのでは?」と思われる人がいます。じつは、人間の臓器の多くは自分の意思で鍛えることは難しいのですが、脳と筋肉だけは異なり、いくつになっても成長させることができます。

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【いくつになってもあきらめる必要はない】

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