富裕層が日本株を「今、面白い」と注目している訳 個人投資家は中小型株投資ではプロよりも有利

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

またプロ投資では以下の2つの制約があります。

ひとつは、1000億円を運用するようなプロは、「時価総額100億円の
銘柄を買う」ということが、投資規模が小さすぎてやりづらいという点です。これはどういうことかというと、通常はひとつの銘柄を売買する際に、その売買そのもので株価を乱高下させないように注意する必要があります。その会社の株式の1%でも売り買いすると、株価に大きな影響を与えてしまいます。

すると時価総額100億円の会社の1%、1億円がその銘柄で取引できる上限
です。1000億円を運用しようと思ったら、1000社に投資をしなけれ
ばなりません。これは非現実的です。「そんなふうに、いちいち細かく買っている場合じゃない」となるため1000億円を運用する必要があるときは、相応に大きな企業の株を買わざるを得ません。

そのような規模感の大企業の株はよくも悪くも安定していることが多いため、リターンはそこまで高くない、ということがあります。ある程度目利きができるようになった投資家が、中小型株を投資対象としているのは、「プロが参入しにくいから」というのもひとつの理由です。

個人投資家は制約がない

億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド
『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

もうひとつは、プロがファンド運用目的で預かった1000億円は、何らかの理由で運用しなければならないということです。苦労して集めたお金を、「いいものがない」「今は機を待つべき」、といった言い訳で何にも投資せず運用しないわけにはいかないのです。

「本当に」自信をもって投資している銘柄以外にも、やや消極的だが投資せざるを得ない銘柄も混ざっていることがあります。こういう投資は損をしないことが大切なので、おのずとリターンも限定的です。

このような制約がかかった投資ポジションが玉石混交になっているのが、プロ投資のリターンなのです。

逆にいえば、個人投資家はプロとは異なり、1銘柄あたりのサイズ、運用したい金額、売買タイミングなどに何の制約もありません。本当に勝算が見込めるものだけを選りすぐって投資もできますし、より小さい規模の株式を丁寧にさらっていくことで、勝算が見込めるということでもあります。

日本の中小型株を個別に丁寧に研究していくことは、プロよりも個人投資家のほうが有利に働く投資ではないでしょうか。

『億までの人 億からの人』出版記念特別イベント
著者・田中渓氏と猫組長(菅原潮)氏が対談
開催日時:2024/11/29 (金) 19:00 - 21:30(予定)
開催場所:東京都品川区上大崎3丁目1−1 目黒セントラルスクエア6F
参加費:5000円
田中 渓 投資家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たなか けい / Kei Tanaka

1982年 横浜出身。上智大学 理工学部物理学科卒業。学科首席として表彰を受け同大学院に進学し、外資系の世界を目指し始め急遽渡米。ビジネスセミナー「CVS Leadership Institute」に参加し個人優勝、チーム優勝を果たす。大学院中退後53回の面接を経て、ゴールドマン・サックス証券株式会社に2007年に新卒入社。間もなくリーマンショックでボーナスゼロ、大幅減給、在籍部署の9割人員削減のどん底を経験。ドラマ「ハゲタカ」の舞台になった投資部門であらゆる投資を行う。500件以上の投資案件に携わり、60件以上の投資案件を実行。投資規模は投資金額ベースで約4000億円、企業価値・資産価値ベースで1.2兆円を超える。同社でマネージング・ディレクターに就任し、投資部門の日本共同統括を務め、2024年に同社を退社。在籍17年間で20カ国以上の社内外300人を超える「億円」資産家、「兆円」資産家、産油国の王族など超富豪などと協業・交流をする中で、富裕層の哲学や思考、習慣などに触れ、その生態系を学ぶ。退社後は少数精鋭の投資会社にて勤務。同社の不動産投資の責任者を務める。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事