1浪目に「突入した」R.さんは、駿台予備学校に通いながら医学部を目指して勉強する日々を送りました。しかし、次第に自分が目指す医学部が思っていたよりも甘くない場所だということに思い悩みます。
「浪人生活を始めて気づいたのは、前年度にギリギリ落ちた人が大勢予備校に通っているということです。合格確実だろうという成績の人を目の当たりにして、現役のときにまったく医学部の成績に及ばず、E判定ばかりだった自分にはきついと思いました」
選択科目も前年から変えないまま1年を過ごしたものの、成績が伸び悩み、1浪目の医学部受験も、残念ながら不合格になってしまいました。
2浪目への突入が現実味を帯びたR.さん。しかし、そんな絶望の最中にあるR.さんを救ったのは親の存在でした。
「『どこかの大学に所属して仮面浪人をしたほうが精神的にもいい』という提案をしてくれたんです。親には申し訳ないと思ったのですが、後期試験で国立大学に進学し、大学に籍だけ置いて自宅で勉強をすることにしました」
親が背中を押してくれた
この時期、周囲から「女性の立場で浪人をすることについて意見されたこともありました」と言うR.さん。親は大学生という立場を与えることで、浪人することに対する社会の目線からもR.さんを守ってくれたのでしょう。彼女は「親が性別で人の選択の幅を狭める判断をする人ではなく、背中を押してくれる人だったからこそ救われました」と言います。
こうして、R.さんは2浪目から仮面浪人を始めます。
もうこの時期には、R.さんは自分が2~3浪では合格できないことを覚悟していました。それでも、浪人生活を頑張れたのは、幼少期からの目標の存在が大きかったと言います。
「小さい頃からの夢でしたから、やるしかなかったんです。大学に在学しているといっても、将来的に医学部に行くことしか考えていませんでした。一般企業に就職することを考えたとき、2浪以上の年齢だと、どこに行っても新卒採用は厳しいから、逆にもう、開き直って勉強しようと思いました」
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