「マーガリンは危険」と思い込む人が知らない真実【再配信】 日本での「トランス脂肪酸」摂取量は実は少ない

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だからまったく問題ない、といいたいわけではありませんが、そこを気にするくらいなら、他に気にしたほうが良いことはいくらでもあります。食事は結局バランスが大事です。

エセ医療のマーケティングに使われている

「食事でがんを治す」というのは典型的な詐欺医療の広告ですが、この中身をみると全てが出鱈目なわけではありません。まったく出鱈目なら誰も騙されないわけで、絶妙に科学的な内容が織り込まれているから、騙される人が後を絶たないのです。

「トランス脂肪酸を是が非でも避ける」というのは、詐欺医療広告の代表格です。「トランス脂肪酸が健康に悪い」という”科学的な”根拠をもとに、トランス脂肪酸を含むマーガリンなどを是が非でも避けさせるよう指導します。このように、わかりやすい「悪役」を叩きのめす、というのは、非常に効果的なマーケティングになります。

ただこの記事で解説した通り、「少しでもトランス脂肪酸を摂ると健康に悪影響を及ぼす」というのは、まったく科学的ではありません。摂りすぎると健康に悪いでしょうが、今現在の環境で、そこまで多量に摂取するのはかなり難しいです。

少なくとも日本ではそんなに気にすることはありません。マーガリンが大好物で毎日大量に食べて心筋梗塞になった、など当然例外的な人はいるかもしれませんが、何にだって例外はあります。例外を代表例として受け取ってはいけません。

また、がんでも他の病気でも、そもそも「治療」こそ医師の専門分野です。いろんな医師が玉石混淆な情報を流して、誰の言うことが正しいかわからない世の中になってしまっている、というのは、主に「予防」の話です。

「治療」は、その道のプロである専門医に聞いた話が、一番正確性の高い情報です。食事でがんを治すというのは、がん治療に関わっている医師が言う話ではまったくないのです。

浜谷 陸太 医師、疫学修士

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はまや りくた / Rikuta Hamaya

ハーバード大学院Population Health Science博士課程、ブリガムアンドウィメンズ病院リサーチフェロー。東京医科歯科大学医学部卒業後、循環器内科の後期研修、ブリガムアンドウィメンズ病院予防医療科、ハーバード公衆衛生大学院栄養疫学科を経て現職。ハーバード大学で疫学修士を取得。専門は予防医療、生活習慣病、因果推論。

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