生産については、台湾の2輪メーカーである中華汽車と、車両最終組立の委託に向けた覚書を2024年10月に締結しており、2025年の販売を目指す。価格は、生産地の台湾で90万円台の想定だという。
なぜ、量産まで10年以上もかかったのか?
こうした経緯を見ていく中で、疑問が湧いてこないだろうか。i-ROADがコンセプトモデルとして登場してからリーン3の量産までに、「なぜ10年以上の年月が必要だったのか」という点だ。
i-ROADについてはトヨタの事業に関わるため、守秘義務を考慮して今回の取材時にも谷中氏に対してコメントは求めておらず、ここから先は筆者の私見として話を進めたい。
ジュネーブショー2013でのi-ROAD発表に際して、トヨタヨーロッパのディディア・レロイ社長(当時)は、トヨタが考える次世代モビリティの全体像をチャートで示した。
その中で、電動車の中核は当時、ヨーロッパ市場での販売拡大戦略を進めていた「プリウス」が起点となっており、そこから市場はPHEV(プラグインハイブリッド車)へと広がって、都市間移動など長距離対応ではFCEV(燃料電池車)を重視するとしていた。この流れは、2024年現在でも概ね変わっていない。
現在との大きな違いは、BEVの位置付けである。当時のBEVは、一充電航続距離を100km程度とするシティコミューターとしていたのだ。
その中で、「iQ」をベースとした「eQ」を「ショートディスタンス・コミューター」、現在も生産が継続しているトヨタ(車体)の「コムス」を「ホームデリバリー・ビークル」、そしてi-ROADを「パーソナルモビリティ・ビークル」と区分していた。
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