異質なモビリティ「Lean3」完成まで10年のワケ トヨタから独立「BEV環境」が変わりゆく中で

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これは、リーンモビリティが「アクティブ・リーン・システム」と称するもので、Gジャイロセンサーによって常に車両姿勢を推定しながら、コーナリング時に独自開発のサスペンション機能を作動させ、最適なリーン姿勢で走行する機構によるものだ。

独自の「リーン制御」を行うフロントサスペンション(筆者撮影)
独自の「リーン制御」を行うフロントサスペンション(筆者撮影)

このリーン3を見て、「あれに似ているのでは?」と思った人もいるだろう。トヨタが量産を目指して研究開発していた「i-ROAD(アイロード)」のことだ。それは当然のことで、両モデルの開発責任者は同じ、谷中壯弘(あきひろ)氏なのである。

i-ROADは後輪操舵、リーン3は前輪操舵

筆者が谷中氏に最初に会ったのは今から11年前、スイス・ジュネーブショーのトヨタブースでのこと。i-ROADが、世界初公開されたときだ。現・リーンモビリティ代表の谷中氏は当時、トヨタ自動車でi-ROADや「C+pod」などの小型モビリティ開発を担当していたのである。

i-ROADがブース内の舞台を走行する様は、これまでのクルマや2輪車の常識を覆す雰囲気で、メディア関係者や一般来場者に極めて強いインパクトを与えたことを思い出す。

2013年のジュネーブショーで世界初公開されたトヨタ「i-ROAD」(筆者撮影)
2013年のジュネーブショーで世界初公開されたトヨタ「i-ROAD」(筆者撮影)

その後、i-ROADはヨーロッパなどで実証試験を行っており、筆者も豊田市のクローズドエリアで試走したこともある。後輪が駆動と操舵に対応するため、「小回りが効く」印象だった。

一方、リーンモビリティとして独立し、谷中氏が完成させたリーン3では、駆動は後輪だが操舵は前輪で行う設計になっている。

この点について谷中氏は、「後輪操舵による独特の操作感よりも、多くの人が操作しやすいと感じることを重視した」と説明する。

そのうえで、「どのような車両姿勢でも、タイヤがボディに接触しないような設計にするのが挑戦だった」と量産に向けた経緯を振り返った。あわせて、生産性やコストの効率化を考慮して、リーン3が完成した。

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