「100億以上かけてIT投資→システム障害」深い訳 「そんなにお金を使って、なぜ?」専門家が解説

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「340億円あれば、他にもっと(企業の成長に資する)効果的な投資ができたのでは?」という問いはすぐに浮かぶと思います。

たとえば、事業ポートフォリオの改造のためのM&A、新規事業の大規模キャンペーンの実施、ROEやPBR改善のための自己株買いや配当増、早期退職者用の退職積立金の加算、といった具合です。

「違和感」を「建設的な批判」に仕立てるスキル

そうはいっても、社内の情報システム部門やCIOから「DXとしての基幹系システムの再構築は必要です、他に手はありません」と言われると、「デジタルはよくわからないから」と違和感を放置してしまう方は(経営層も含め)少なくないでしょう。

こんなときに大事なことは、さまざまな投資候補(そのひとつがDXでの基幹系システムの再構築です)を同じ俎上にのせて、成長への貢献の視点から(投資候補の)優先度を精査・検討するという、極めてシンプル・基本的なアプローチをとることです。必要なことに投資をし、無駄な投資は避けるということになります。

このアプローチをとることは、(デジタル投資による)リスクをいたずらに恐れて、成長に必要な(デジタル)投資を逸してしまうという愚を、犯さずに済むことにもなるのです。

デジタルの知識(あるに越したことはありませんが)よりは、ビジネスの経験・知見と、違和感を建設的な批判に仕立てるスキルが、はるかに求められるのです。

大野 隆司 経営コンサルタント、ジャパン・マネジメント・コンサルタンシー・グループ合同会社代表

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おおの りゅうじ / Ryuji Ono

1986年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。アンダーセン・コンサルティングを皮切りに戦略系、デジタル・IT系、フィナンシャル・アドバイザリー系と複数の外資系コンサルティング会社にて数多くの案件を遂行。ローランド・ベルガー、KPMG FASなどでパートナーを務め2019年独立。現在はDX、イノベーション創発などのテーマにおいて、約70名の独立コンサルタントとともにチームを組成して企業支援を行う。湯河原在住。週末は自宅でドックカフェを開く。愛犬飼育管理士、わな猟狩猟免状を保有。

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