真田広之「SHOGUN 将軍」ハリウッドに与えた変化 本作の日本人プロデューサーに話を聞いた
――多面性のある作品だと感じました。日本をはじめアジアの人たちには吉井虎永(真田広之)の視点で見る歴史ドラマであり、欧米の人たちが按針(コズモ・ジャーヴィス)の視点で見れば、未知の世界へのサバイバルアドベンチャーかもしれない。見る人の属性によって物語性が異なります。配信ドラマとして、全世界を意識していたのでしょうか。
全世界でヒットを狙うのは、現実的ではありません。本作はアメリカのスタジオの作品ですから、やはり北米市場を意識しました。ただ、時代の流れもあると思います。ダイバーシティなどの意識が高まるなか、人種や文化を正当に表現しなくてはいけないし、そうでないと通用しない時代になりつつあります。
世界中の視聴者もその部分の保証を求めていますし、日本を題材にした作品で日本人が認めていないなら、興醒めされてしまう。そのため、クオリティーは世界を意識して突き詰めました。
――エミー賞での受賞を受け、北米での話題性の高さや、視聴数への感触はどのように感じられていますか。
ディズニープラスは数字を教えてくれないんですよ(笑)。でも、ニュースの数やSNSの反響など、たくさんの方に見ていただいていることは肌感覚として伝わってきています。
とくに『第76回エミー賞』受賞後は、北米の代表的なトークショー番組で取り上げられたり、露出が一気に増えました。やはりその影響は大きいですね。
ハリウッドでの日本に対する注目度の変化
――本作の前と後で、ハリウッドにおける日本人俳優への評価や、時代劇への注目度の変化はありますか。
大きく変わっていると思います。日本では大スターの真田さんも、アメリカでは本作が初主演です。その作品がこれだけの評価を受けたことで、アメリカでもトップスターの一員として認められました。『エミー賞』でアジア人初の主演女優賞受賞者になったアンナ・サワイさんも同様です。
ハリウッドに日本人やアジア人のスターがいることに大きな意味があります。それは日本人俳優の見え方や、仕事のオファーにも影響があるでしょう。
もともとハリウッドで日本文化は愛されていて、特徴的でおもしろいと認識されています。そして、市場としても日本はそれなりに大きい。日本題材の脚本の企画開発は、確実に増えています。
スタジオ関係者から、時代劇の売り込みが増えているという話を聞いたばかりですが、時代劇に限らず、日本を舞台にした作品が数年後にはどんどん出てくるのではないでしょうか。
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