真田広之「SHOGUN 将軍」ハリウッドに与えた変化 本作の日本人プロデューサーに話を聞いた
本作の製作において、ジョンとジーナは原作の持つ魅力をそのまま映像化することを掲げました。壮大なスケールでありながら、当時のロマンスから暴力、道徳観、性的表現まですべてを映し出す、“本物のドラマ”を目指していました。
そのなかで、私は日本人から見ても違和感のない脚本にするための助言やキャスティングの一部を担いました。また、撮影のメインはロンドンだったのですが、日本でのロケを取り入れたりもしました。
原作に強く惹かれた
――そもそも企画の出発点には、ハリウッドで日本文化や時代劇が注目されていることもあったのでしょうか。
もちろんそれはあります。アメリカに限らず、世界的に日本のアニメは見られていますし、観光で日本を訪れる人もどんどん増えて、日本文化への興味関心が高まっています。そのため、日本を題材にする作品も少しずつ増えています。
とくに若い世代は、エキゾチックな外国といった意識の壁のようなものはなく、すんなりと自分たちの生活のなかに日本の文化を受け入れています。
ただ、本作の企画に関しては、ジョンとジーナが強烈に原作に惹かれたからのようです。この作品には、彼らのエンターテインメントへの感性と嗅覚を惹きつける魅力があったのでしょう。この題材を適切な人材と時間、予算をしっかりかけて、これ以上ない完成度の作品に仕上げることを目指しました。
これまでのハリウッドの感覚であれば、在米で英語を話せる日本人俳優をキャスティングし、英語のセリフにするところを、本作ではそれぞれのキャラクターにもっとも相応しい俳優をキャスティングして日本語の物語にし、“本物のドラマ”を追求したのです。
その結果、ハリウッドの映像製作におけるたくさんの扉を開く画期的な作品になり、大成功しました。いまの時代にこれを成し遂げたことに大きな意義を感じています。
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