近鉄16000系、南大阪線・吉野線「最古参特急」の今 「吉野特急」の元祖として観光と通勤両面で活躍

✎ 1〜 ✎ 51 ✎ 52 ✎ 53 ✎ 54
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

1990年にさくらライナー、1996年にACE、2010年にAceと、南大阪線・吉野線に後輩の特急車両が登場すると16000系は活躍の場を減らしていくことになる。

第1~第3編成は大井川鉄道(静岡県)に譲渡された。現在は第3編成のみが近鉄特急の長年の伝統だったオレンジと紺のカラーリングのまま、南海電気鉄道の高野線からやってきた21000系「ズームカー」とともに普通電車として走っている。

旧塗装時代の16000系
オレンジと紺の旧特急色時代の16000系第7編成(写真:近畿日本鉄道)

近鉄の特急車両は2015年末以降を「クリスタルホワイト」と呼ぶ白をベースとした新塗装に変更。16000系も2016年以降順次塗り替えられ、イメージを一新した。

近鉄16000系  モ16000
現在の16000系第7編成。「クリスタルホワイト」をベースにした特急色(記者撮影)
近鉄16000系 第8編成 4両固定編成
16000系第8編成は4両編成(記者撮影)

営業用車両は残りわずか

そして第4編成以降も徐々に姿を消している。第4~第6編成はすでに廃車になった。2024年11月初旬の時点で、第7編成は定期営業運転を外れた「運用予備」、4両の第8編成は「休車」の扱いになっている。近鉄は2024年10月、11月下旬に第7編成の大阪阿部野橋―吉野間の乗車体験などを盛り込んだツアーを実施すると発表。同編成の完全引退も近いとみられる。

16000系 第9編成
現役の16000系第9編成。この列車は吉野方に16010系を連結した4両編成(記者撮影)

一方、第9編成と16010系は現役で活躍中。技術管理部の奥山元紀さんは「16000系は地味な存在だが、近鉄特急のネットワーク構築に貢献した。吉野にお出かけの際は、行きは青の交響曲、帰りはレトロな雰囲気の16000系といった具合に乗り比べて楽しんでもらいたい」と話す。

大阪阿部野橋―吉野間64.9kmをすべて乗り通しても運賃に追加する特急料金は520円。都会の高架区間から、のどかな田園地帯、そして山の中へと景色が変遷していく。昭和生まれの近鉄特急の旅を体感するにも絶好の路線といえそうだ。

この記事の画像を見る(60枚)
このシリーズの記事一覧はこちら
橋村 季真 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事