トランプに学ぶリーダーシップのアピール技術 アメリカ大統領選を制した言語スキルとは
この方法を私たちが真似るならば、部屋に入ってすぐに自分の席につくのをやめましょう。一番近いドアから入室せず、あえて後方のドアから入ります。そうすると、自然と回り道をして多く歩かなければならない状態をつくることができます。
相手が座ってあなたの入室を待っていた場合、聴衆は自分より目線の高さが上にある人から見降ろされることになります。これにより、聞き手の中に「この人に従わなければ」という上下関係の意識が無意識に芽生えます。マナーでは失礼とされる上から目線を、あえて逆手にとる作戦です。
話し始めるところからではなく、歩き方から練習する
印象形成に関する心理学研究において「初頭効果」は繰り返し見出されています。初頭効果とは、最初の情報が全体の印象に対して大きな影響力を持っていることを示したものです。そのため、人前で話すときに大事なのは第一印象とよくいわれます。最初に好印象を与えることができれば、その後の行動も良い方向に受け止めてもらうことができます。
最初に聞き手が話し手を認識するのは、その姿を見た瞬間です。つまり、登場シーンを制す者がその場を制すのです。
会議であれば席を立って発言するために前に向かう姿、プレゼンであれば舞台袖から中央まで歩く姿、面接などであれば入室して椅子に座るまでの姿などです。
実際に話し始めるより前である点が要注意です。あなたの印象は「歩く姿」からすでに始まっています。
スピーチトレーニングでは、最初の歩き方だけを練習することもよくあります。歩幅や歩数を測り、事前に決めておくのです。ご自身でリハーサルをする場合は、話し始めるところから練習するのではなく、その前の歩き方から練習し歩数の目安を決めておきましょう。
その際のポイントは、当日と同じ状態で行うことです。着用している服や靴(女性ならパンツをはいているかスカートをはいているかなど)によって歩き方が変わるからです。
人前で話す場合、「苦手なことは早く終わらせたい」と思うためか、自然と早足になる人が多い傾向があります。重厚感を出すためには、背筋を伸ばし、普段よりゆっくりと話す場所まで歩きましょう。それだけでも、堂々としたリーダーらしい印象を与えることができます。
「人は見た目が9割」として、言葉以外の非言語スキルの重要性が度々説かれます。
選挙後に敗北宣言を行ったハリス氏は、紫色のスーツ姿で演説に立ちました。両党のシンボルカラーである青と赤の中間である紫色を身に着け「融和」を訴えました。彼女が非言語メッセージにも気を配っていることは明らかです。
しかし、「問いかけ」という言語スキルによって国民の気持ちを代弁し一体感を作ったトランプ氏が圧勝したという今回の米大統領選挙結果は、リーダーにとっては、言語スキルがより重要であるということを、あらためて教えてくれたともいえるでしょう。
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