「さらばモデル年金」誰も知らない財政検証の進化 女性活躍推進、子育て支援は重要な年金政策だ
また2019年の第3回財政検証では、さらに幅広い想定で試算を行う資料4「財政検証関連資料」も作られ、たとえば2019年に65歳の人の所得代替率61.7%と同じ水準の年金は、同年20歳の人は66歳9カ月まで働いて保険料を納めれば受給できるというような試算、つまりは、モデル年金上の被保険者期間の延長と繰り下げ受給の効果を組み込んだ試算もなされました(「今年もまた繰り返すの?財政検証後の年金叩き」)。
そして今年の財政検証では、この関連資料4がバージョンアップされたわけです。
そこでは、出生コーホート別、すなわち生まれた年次別の老齢年金の平均月額やその分布が初めて試算されました。
このグラフは、各年代の人たちが65歳になったときに、どれだけの年金を受け取れるかを試算したものです。たとえば、一番左。2024年度末に65歳で老齢年金を受給している人たちの男女計の平均月額は12.1万円、月額20万円以上は9.1%です。
一方、一番右。現在20歳の人たちが65歳になったときの年金は、過去30年のような経済の停滞が続く場合は2024年価格で13.6万円ですが、経済成長が順調に進む場合には22.5万円になり、この場合の月額20万円以上の人たちは64.8%と大幅に増えます。
さらに関連資料4には被保険者の構成割合の見通しという重要なデータもあります。これからは、自営業者などの国民年金1号、それに配偶者に扶養されている主に妻の入る国民年金3号の割合が低下して、厚生年金の被保険者である2号の割合が増えていきます。その変化の主な理由は、女性の厚生年金加入の増加によるものです。
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