学校はなぜ「巨大組体操」をやめられないのか

"保護者が望んでいるから"は本当か?

――学校が巨大組体操をやりたがっている、ということですか? それはなぜ?

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10段のビラミッドを横から見た図。下段や中の子どもにすさまじい負荷がかかっている(出所:内田良氏の近著『教育という病』より)

理由はふたつあると思うんですが、ひとつは「保護者ウケ」がいいから、ということです。

保護者のなかにも、巨大組体操を支持する人は少なくない。ある小学校では校長先生自らが問題提起して、ピラミッドをとりやめにしたんですけれど、PTA関係者から「勝手にやめるなんて、けしからん」ということで、ひどくののしられたそうです。

――PTA関係者というのは、立場によってはけっこうな発言力がありますからね……。でもそれって保護者の総意ではなく、その方の個人的な考えですよね。

そうなんですけれどね。でも、そういう「巨大組体操をやってほしい」という保護者の声は、まだまだ多いのも事実です。

ただ、僕はそれが「先生の言い訳に使われている」という気もしています。保護者のなかには「巨大組体操をやめてほしい」という声だってたくさんあるんだけれど、先生たち自身がやりたいから、「保護者がやってほしがっている」と言っているところも、あると思うんですよ。

ケガのリスクより、「クラスのまとまり」

内田 良氏(撮影 : 梅谷 秀司)

――巨大組体操をやって、先生に何かメリットがあるんですか?

学校の先生にとっていちばん大事なことって、「学級経営」であり、「クラスのまとまり」なんですね。組体操っていうのは、あたかも「まとまり」をつくるようなものじゃないですか。そういう意味でも、とても先生ウケがいいんです。

「クラスみんな仲がいい」とか、「まとまりがある」っていうのは、担任の先生にとって、学校の中でのステータスでもあるので。

――ある意味そっちのほうが、組体操でケガ人が出るリスクよりも大事だってことでしょうか。

そうですね、だからなかなかリスクを受け入れられないんだろうな、と思います。

また巧妙だと感じるのが、誰かがケガをしても、「その子のために、みんなが一致団結するんだ」っていう物語をつくってしまうところ。よくあるのが、誰かが骨折で入院したりすると、クラス全員からの手紙を届けるんですって。それを読むと、親も子どももジーンとなって、すべてを忘れるっていう。すごい技術だなーと思って(苦笑)。

――それは、ちょっとひきます……。

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