学校はなぜ「巨大組体操」をやめられないのか "保護者が望んでいるから"は本当か?
それでいて、保護者から「巨大組体操をやめたほうがいい」という声が上がると、先生たちは「昔からやっている“伝統”だからやめられない」とか「保護者がみんなやりたがっているから、やめられない」っていうんです。
でもそもそも、始めるときは保護者の了解も得ずに巨大なものを作っておいて、いざ「やめろ」っていう声が出てくると、保護者のせいにして「やめられない」というのは不思議なことです。
先生を敵にまわすと僕の声が現場に届かなくなってしまうので、あんまり言わないようにはしているんですけれど。せこい!(苦笑)
観客に見えない場所の子ほど負荷がかかっている
――わたしもPTA関連の取材をしているとき、それはたまに感じます(苦笑)。それにしても、組体操以外では、一体感が生まれるものはないんでしょうか?
わかりやすい代替手段としては「ダンス」がありますよね。“見栄え”もいいですし。
立体ピラミッドも見栄えはいいんですけれど、顔が見えるのはいちばん前の子どもだけです。
最前列の子たちって、土台でも0.4人分しか重みがかかっていない。だからキリッと凛々しい顔を見せられるんだけれど、奥のほうの子たちは「うーーーーーーーっ!!!」って雄たけびみたいな声をあげながら、ただ耐え忍んでいるんです。
しかも、誰からも見えていない。タワーだって、てっぺんの子以外は全員観客にお尻を向けていますから、絵面的には全然よくないです。
――そろそろ秋の運動会シーズンですが、巨大組体操は減りそうですか?
たぶん減ってくるとは思うんですけれど、いま少し危惧しているのが、「ピラミッド以外ならいい」「巨大じゃなきゃいいだろう」という方向にいくんじゃないか、ということです。
実際、「ピラミッドはダメだから、タワーにする」っていう学校もあるんですけれど、タワーのほうがむしろ重度の障害が残ったケースが多いんですよ。肩の上に立つので、3段くらいでもけっこう高さがある。しかも崩れるとき、ピラミッドだと「ぐちゃー」って潰れていくんですが、タワーだと高いところから「すとん!」と壊れるので、落ちるエネルギーが大きいんでしょうね。
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