意外!ソニーのテレビが欧米で復活していた どん底から這い上がるために何をしたのか

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LGエレクトロニクスは「未来の技術」を積極的にアピールしていた

ドイツ・ベルリンで毎年9月に開催される世界最大級の家電ショー「IFA」は、年末商戦を見すえて実際に販売する商品を並べ、訴求する。開発コンセプトよりも実売につながる製品を見せる場だ。

ところが、韓国勢の様子は違っていた。

LGエレクトロニクスは生産難易度の低い白色OLEDにカラーフィルターを組み合わせたOLED(有機EL)パネルを量産し、収益性が下がっているテレビ向け液晶事業から高付加価値パネルへの切り替えを狙っている。子会社のLGディスプレイがテレビ向けの大型OLEDパネルの設備に多額の投資をしたこともあり、今年はOLEDを含む将来の新技術、新規格の紹介ばかり。ブースでは、新製品の展示というよりも、先進性を訴求する展示になっていた。英国のBBCが4K実験放送で行った世界発のハイダイナミックレンジ(HDR)放送をデモするなど、現在よりも未来を見据えた展示だったといえる。

しかし、OLEDがテレビ用パネルの主流になるまでには、まだまだ時間が必要だ。LGエレクトロニクスは、テレビ向け展示面積の半分以上を使ってOLEDを訴求した。しかし、この年末商戦の主役ではない。今、売らなければいけないのは液晶テレビだ。

サムスン電子は商標でブランド化

一方、液晶テレビで世界シェアナンバーワンのサムスン電子は、1月にラスベガスで行われたCESにおける展示をなぞったものだった。サムスンは4K(UHD)テレビにHDR表示機能を加えたテレビを”SUHD”という名称でブランディング。この戦略は、機能面で優位性はないものの、意図して名称を変えることで新製品であることを訴求するものだ。

サムスン電子はテレビ向けのOLEDパネル生産をいったんはあきらめた模様で「OLEDよりもSUHDが優れている」という説明をしている。こうした”技術的な優位性がない製品を商標でリブランドする”手法は、かつてLEDバックライト採用の液晶(LCD)テレビを「LCD TVより新しいLED TV」とブランディングした時に近い。

とはいえ新たな訴求はなく、またIFAにおける展示の目玉にしたかったUHDブルーレイプレーヤーも開発が遅れ、発表こそ行ったものの、発売は来年(コンテンツパートナーの話によると来春とのこと)まで持ち越しとなったことも、新味を欠いた理由かもしれない。

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