フジ「わたしの宝物」が描く"生々しい夫婦の姿" 「昼顔」「あなして」に続く、複雑な恋愛ドラマ
そして第2話も、前半の美羽は、宏樹に真実を告げて別れ、ひとりで子どもを育てていこうとする真っ当な姿勢を見せるが、後半では翻意し、自身の心も真実も封印して家庭生活を続ける悪女に戻る。
そこに映る無関心な夫と不貞妻の裏の顔は、状況や程度は異なれ、どこにでもある、生々しい夫婦のリアルな一面でもあるだろう。この先、妻の振り幅のパターンがフォーマットになっていくとしたら、毎話どのような善悪の顔が映されるのか興味深い。
リアルな夫婦関係の行き着く先
また、第2話まででは、仕事を理由に家庭や子育てから逃避する夫、妻につらくあたり、ストレスをぶつけることもある夫の姿があった。それも劇中だけではなく、どこにでもいる夫婦の姿だから、つい共感してしまう。自分たちの姿を客観的に映す鏡になっているからこそ、そこに気づきも生まれる。そんな見方もできるドラマだ。
本作のプロデューサーは、不貞する“昼顔妻”を描いた『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(2014年7月期)と、“セックスレス”をテーマにした『あなたがしてくれなくても』(2023年4月期)を手がけた三竿玲子氏。
本作は、夫婦のタブーを扱うドラマの第3弾だけに、共感性の高いリアルな夫婦関係の行き着く先に何が待ち構えているのか、怖いもの見たさのような興味が膨らむ。
不貞相手の子を産んで、夫婦の子として育てようとする美羽は、たとえどんな理由があろうとも、やっていることを見れば、大きな罪を犯しているように思う。そんな妻が主人公だけに、落としどころを間違えれば炎上しかねない。美羽がどのような決着をつけるのか注目される。
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