「急激に衰えてしまう人」に何が起きているのか 年齢を理由に自分の可能性を狭めてはいけない

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たとえば、「自分は赤面症だから人から好かれない」という悩みを抱える患者さんがいたとします。

そのときに、森田療法ではその人の「顔が赤くなること」自体を変えようとはしません。赤面症であることを受容したうえで、人から好かれるための方法を考えるというアプローチをとるのです。

たとえば、もっとにこやかな表情を浮かべたり、話し方を変えたり、あるいは「尊敬している人の前では顔が赤くなっちゃうんです」とあらかじめ相手に伝えたりする、などといったアドバイスをします。

病気になった時もこのような考え方ができると、そこから先の生き方が変わってくるのではないでしょうか。

もちろん、病気の治癒を目指すのは大切なことです。ここで指しているのは、それが難しい場合についてです。仮に快復の見込みが持ちづらい病になったときは、その病気があることを前提としたうえで、どうやってその先の人生を前向きに歩んでいくのかを考えることが大切なのだと思います。

闘病ではなく、ともに生きる「共病」の精神を持ち、病気を手なずけながら生きていく……シニアに求められるのは、そんな穏やかな精神なのではないでしょうか。

「今あるものに目を向ける」

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その具体的な方法が、「今あるものに目を向ける」ということだと思います。まだ自分ができること、残っている能力に目を向け、大切にしながら生きるのです。

たとえ寝たきりになったとしても、詩や絵画の創作に意欲を燃やすなどして、「今できること」を最大限に生かしている方はたくさんいます。

パラリンピックの選手たちは、多くの競技において、健常者をはるかに凌駕する能力を見せます。持っている能力を最大まで高め、その突出したレベルで世界を相手に戦っているのです。これは、「できること」を極限まで伸ばした例と言えるでしょう。

「できないこと」が生まれたときは、代わりに「できること」をどこまで伸ばせるか、新たな挑戦が始まっているのではないでしょうか。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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