和田秀樹が教える「60歳から頭がよくなるコツ」 話が上手な人とそうでもない人の決定的な差

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自分の考えを理路整然(りろせいぜん)と伝えるにしても、面白い話に発展させるにしても、もとになるのはまとめる力であり、この力が身につくことで、はじめて伝える力が発揮されるということです。誰かと会話をする際も、要約する力があれば、「つまり、この人の言いたいことはこういうことかな」と、ポイントをつかむことができます。そうやって相手の伝えたいことや意図していることを理解できたなら、ニーズを満たしてあげることができるでしょう。このように、まとめる力は、コミュニケーションにおいて非常に重要な能力です。

けれど残念なことに、日本の教育はこの「まとめる力」を伸ばすことにあまり重きを置いていません。外国では長い文章や論文を読み、その内容をまとめるという教育が行われているのに対し、日本では登場人物の心情理解をしたり、自分なりの感想を述べたりすることを求められます。なにもわざわざまとめる力を鍛えなくても、読解力は自然に身につくものと思われているのです。

「自分にはまとめる力くらいあるよ」と思ったとしても、いざ話そうとするとうまく言葉にならない、言いたいことが整理できない、といった具合になるのであれば、それは結局のところ、まとめられていないということなのです。けれど、このまとめる力も、少し意識を変えてみたり、日々のなかでトレーニングをしてみたりすることで、たいていの人が身につけることができます。結局ここでも大切なのは、ちょっとした技術と意欲なのです。

わかった気になるのと、実際に理解して内容をまとめられるのとは別問題

まとめる力をつけるために効果があるのは、さまざまな情報に触れたときに、その内容を要約してみること。「なんとなくわかった」で終わらせないということです。本や文章を読んだり、人の話を聞いたりしたときなどに、頭ではわかった気になっても、仮に「では、今の内容をまとめてください」と言われたら、戸惑ってしまう方が多いのではないでしょうか。「わかった気になる」のと、「実際に内容をきちんと理解していてまとめられる」というのは、まったくの別物なのです。だからこそ、意識して要約する訓練を重ねていくことが大切です。説明作業を日々、怠らないということです。

要約しようとするときは、「一番大切なことは何か」を念頭に置くようにしましょう。「あれも言いたい、これも言いたい」となると、散漫になり、内容がまとまらなくなってしまいます。まず核となる部分を見極め、そのうえで肉付けをしていくのです。これは会話をするときにも重要です。最初に結論ありき、といった話し方をすることで、話の方向があっちこっちにブレるのを防ぐことができます。

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