中国の根強い「反日感情」裏にある"国民のリアル" 現地の学校教育に触れて感じた様々なこと

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そんな話を中国で暮らした経験がある人にすると、「大連は特殊だからね」と返ってくることがある。

筆者が生活していた大連は日本企業が集積し、非常に親日的な都市として知られる。外にいるときに急に雨が降ってきて息子と2人で雨宿りをしていると、隣に立っていた知らない女性がタクシーを止めて「方向が一緒なら乗ってください」と同乗させてくれたこともあった。

その女性は運転手に「この人日本人だから、タクシーを自分で捕まえられないと思って、見るに見かねて声を掛けたのよ。子ども連れだしね」と話していた。

反日感情は個人による

たしかに大連は特殊かもしれないが、結局は反日感情は個人によるとしか言いようがない。

親日都市の大連にだって「日本人お断り」と垂れ幕を掲げたレストランがあったし、「犬と日本人は近づくな」というサインをつけたバイクに遭遇したこともある。

東日本大震災が起きたときは、息子の学校の保護者が参加するグループチャットに不謹慎な書き込みをする人もいた。

東京電力が昨年8月に福島第1原発の処理水放出に踏み切ったとき、どこで会ったかも覚えていない中国人から「お前は汚染水放出について何も思わないのか」とメッセージが来た。

それでも、筆者は中国人からリアルに敵意を向けられたことはほとんどない。むしろ2010年代後半の訪日旅行大ブーム以降は、プロパガンダに影響されず、自身の経験を基に日本を語る中国人が増えていると感じることが多い。

昨年、四川省の奥地でタクシーに乗ったとき、運転手が「5年前に日本に旅行して富士山を見た」というので、こんな地域に住むタクシー運転手も日本に遊びに行く時代になったのか、と感慨深かった。チベットに隣接するそのエリアは、日本に行くにも飛行機で6時間ほどかかり、東南アジアの方が圧倒的に近いからだ。

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