中国の根強い「反日感情」裏にある"国民のリアル" 現地の学校教育に触れて感じた様々なこと

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国語だったか道徳だったか、息子の小1の教科書に日本軍と戦った八路軍の英雄物語が掲載され、「日本軍を追い返したぞ」と喜ぶ人民たちの挿絵が添えられていた。ただ、日本軍が中国を侵略したのは史実だし、日中戦争は中華人民共和国の建国と切っても切り離せない歴史の1ページだけに、教科書で取り上げること自体は理解できた。

深セン日本人学校の事件が起きた9月18日は、旧日本軍が南満州鉄道の一部を爆破し、満州事変の発端となった柳条湖事件の発生日と重なった。中国で「国恥日」と呼ばれるこの日は、筆者や息子の通学路にある建物の電光掲示板に「918を忘れるな」とサインが流れていた。

テレビをつければ八路軍が日本兵と戦う「抗日ドラマ」がしょっちゅう放送されている。中国に住み始めたときは「日本軍への敵意はこんなに強いのか」とおののいた。

国に貢献したい一方でアニメが好き

ただ中国生活に慣れてくると、別の側面も見えるようになった。

抗日ドラマは日本の「時代劇」のようなジャンルとして定着しているだけでなく、コメディありカンフーあり、果ては日本兵と中国人将校の恋愛ありと、史実から完全に離れてエンタメ化していた。

そして若者は抗日ドラマではなく、日本のアニメやドラマを通じて日本のイメージを形成している。筆者が日本語を教えていた大学では、学生がECサイトで日本の制服風の上下をクラス全員分購入し写真撮影をしていたし、日本でアニメや映画の舞台を巡る聖地巡礼が大流行した。

人民解放軍に入って国に貢献したいと夢を語る男子学生は、アニメ『進撃の巨人』の「心臓を捧げよ」ポーズをしてみせた。

中国の国際的な存在感が高まる中で成長した今の20~30代は、母国に誇りを持つ愛国者が多い。だからといって、共産党を信仰しているわけでもない。

大学時代に努力して共産党員になった30代の女性は「就職に有利と言われていたし、親も『大きなチャンスをもらえた』と喜んだので党員になった。でも実際にはメリットがなくて、党員になるために費やした時間がもったいなかった。共産党を嫌いというわけではないが、特段の感情がない」と淡々と話した。(過去記事:「共産党100周年」中国の若者達が語る党への本音

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